マラバルは米印のフォーマットであることも手伝って、中国の大きな苛立ちを呼んでおり、インドとしては中国との関係緊張化をこれ以上エスカレートさせないためにも、今までは日本を演習に招待することは控えてきた。インドが何が原因でこうした路線を変えざるをえなかったのかについて、ラジオ「スプートニク」はロシア戦略調査研究所のボリス・ヴォルホンスキー上級専門家にインタビューを試みた。
「日本を演習に呼ぶというのは今取り決められた話ではないと思う。これはインドの戦略的な路線であり、第一にアジアの隣国に接近することになる。アジアの主導国のひとつである日本はインドにとっては長年のパートナーでもあり、近年、両国の関係はますます拡大する一方だ。第二にこれはインドの多ベクトル的政策を反映している。インドは誰かに反対する連盟には加わらず、緊張関係にある国であっても、その双方とともに関係を拡大しようとする。」
Q:言い換えると、日本をこの演習に呼んだからといって、ここに何らかの反中国的な真相が隠されていると疑う必要はないということだろうか?
A:「インドと中国との関係はかなり複雑だ。これは両国がG20やBRICSの加盟国であり、またつい先日インドは上海協力機構に正式に加盟したが、そうしたことを踏まえてもやはり十分に複雑である。インドの対中関係はインドの対中関係であることを理解せねばならない。ところがインドの対日関係は、これはインドの対日関係なのだ。つまり両者は対立するものではない。インドはこれらの国との関係を自国の外交政策の論理に従って発展させているのである。」
Q:ここには米国の痕跡はないのだろうか? 圧力をかけたのは米国ではないのか?
A:「米国がインドに圧力をかけられるとは思わない。なぜならインドは外交政策で十分独立した路線をとっているからだ。だが米国はアジア情勢に対する責任を自国の連合国の肩に負わせようとしている。米国は中国との対立を望んでおらず、このため対中関係の重荷をこの地域における自国のパートナー、連合国、つまり日本や東南アジア諸国に押し付けているのだ。このため米国の痕跡は直接的な形ではここにはなく、これはインドの下した決定だ。米国の圧力の結果ではないものの、米国の政策の路線に沿うものである。」
Q:インドが賢明な道を選び、米国ないし日本から反中的、または反露的なゲームに引き込まれないよう振舞えると期待してもよいか?
A:「おそらく米国には将来的にはインドをなんらかの連盟に引き込もうという計画があるだろうが、これは全く意味のない、また期待の持てない企てだ。繰り返すがインドは自分の側からの関係を拡大していくが、これは誰かに対抗するものではない。」