その答えは簡単だ。日本は主に中東から石油を輸入しているため、イランが国際市場に復帰することで石油、ガスの価格はしばらくすると著しく低下する可能性がある。日本はまた、イランのアザゲダン石油プロジェクトへの復帰が可能となる。アゼゲダン油田の埋蔵量は350億バレルと試算されている。
イラン国内の発電について、イランと日本は十分に協力できると思っている。」と語っている。
日本は2011年に福島第1原発事故をおこした後、原子力エネルギー技術の輸出を一時停止してきたが、今はこれを復活させつつある。 しかも事故は安全保障システムの質的改善につながったが、これは地震発生の危険性があるゾーンにあるイランの「ブシェール」原発にとってはあまりにも重要なことなのだ。
イランと日本は医療分野での協力に相互に関心を抱いている。これを証拠づけるのが、2015年2月に東京で両国の保健省の大臣らが調印した健康医療分野における協力拡大メモランダムだ。日本の医療は医薬品、医療機器、技術と、それが高価なものであろうと、世界中で高く評価されており、イランも価格を問題視することはないと思われる。
モスクワ国際関係大学のウラジーミル・コンドラチェフ教授は、制裁解除後のイラン市場獲得競争は冗談抜きで激しい様相を呈しているとして、次のように語っている。
「この市場を巡る競争は非常に激烈だ。イランは世界でも最大の産油国になりうる国であり、制裁解除で『グレー』輸出ではなく、合法的な輸出の可能性が開けている。ここでは日本は輸入国の筆頭にいるのだ。
消費市場についていえば、イランは外界から閉ざされていた時期が長かったが、それでも消費は伸びた。たとえばイランは独自の自動車産業を発展させているにもかかわらず、やはり拡大、刷新に関心を持っている。 日本にしてみれば自動車の輸出先としてはもってこいなのだ。
より広範に見れば、すでに現在イランの消費市場を巡る闘いは展開しつつあり、これには日本、中国、ロシア、欧米諸国の企業が参加するだろう。ここでのプレーは旨みが大きいからだ。」