ロシア人専門家「宇宙での軍事対立はほぼ避けられない」

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ロシア人専門家「宇宙での軍事対立はほぼ避けられない」 - Sputnik 日本
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8月10日、米国の雑誌「Scientific American」のサイト上で、宇宙空間における軍拡競争に関する論文が掲載された。執筆者の意見では、現在、宇宙空間で戦争が起こる可能性が、これまでになく高まっているとの事だ。ラジオ・スプートニクは、この問題について、著名なロシアの軍事専門家、戦略・技術分析センターのワシーリイ・カーシン研究員に意見を聞いた。彼によれば「宇宙の軍備領域で歩み寄りを達成する事は、ほぼあり得ない」との事で、その理由としてカーシン研究員は「米国には、歩み寄りに向けた用意が無いこと」を指摘した。

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以下カーシン研究員の見解を、まとめてご紹介したい。

宇宙の軍事化は、冷戦時代からこれまでの間に大きな進展を遂げた。偵察衛星や通信及びナビゲーション衛星は、信じられないくらい増えたし、それらを製造し打上げるコストも下がった。GPSやグロノスといった衛星測位システムが確立した事で、爆弾やミサイル、砲弾は、安価になって大型化し高い精度を持つようになった。最も単純で安上がりの戦術無人機を除けば、通信衛星なくして、無人機を用いる事など事実上不可能である。宇宙の軍事化は、偵察衛星の開発から始まったが、今やそれは主役の座を降りて、様々な方向性のうちの一つに過ぎなくなっている。

衛星を破壊するための兵器は、すでに冷戦期に、ソ連と米国によって作りだされている。しかしそうしたシステムは、かなりの数、大量に生産されるといったことはなかった。当時、宇宙空間における軍事力は、それほど重要ではなかったからだ。一方、戦略的安定にとって対人工衛星兵器の展開から生じるリスクは、非常に大きなものだった。というのは対衛星兵器の使用あるいは、その大規模な実験でさえ、それは、核ミサイル攻撃の初期段階と容易に受け止められる可能性があったからだ。

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ロシアに新たな軍種が誕生ー航空宇宙軍
現在、宇宙テクノロジーが、多くの点で、現代の戦争の性格を決めている。敵がそれを利用する可能性をまず奪ってしまえば、敵の管制システムを混乱させ、あらゆる武器や軍事機器を何の用もなさないスクラップに変える事が出来るのだ。ミサイル及びレーダー技術、さらには電子技術の進歩のおかげで、敵の人工衛星を破壊あるいは使用不可能にするシステムは、これまでより一層小型化し、効率が良くなった。

その結果、主要な軍事大国であるロシア、中国そして米国は、人工衛星に対抗するための手段作りに積極的に取り組んでおり、間もなくそれに新たな国々が加わってくる可能性が極めて高い。中国は特に、そうした兵器システムに大きな注意を向けており、高度静止軌道上で人口衛星を破壊する事の出来るシステムを最初に保有する国になりそうだ。

中国軍は、米国は、人工衛星を広く用いて作られた自分達の通信・偵察・管理システムに極めて大きく依存していると見ており、サイバーアタックや無線電子妨害、そして宇宙に配備されているものも含めた、情報手段への攻撃などによって、米国の情報インフラの攪乱を目指している。

ロシアそして米国自体でも、軍は、同じ方向で動いている。米国は、宇宙に武器兵器を配備するための技術を発展させてゆく中で、他の国々に先んじたが、彼らは、ロシア及び中国において地上に基地を置く対人工衛星攻撃システムが発展しつつあることに危惧の念を抱いている。

米国の宇宙空間における最大のライバルは「中国」 - Sputnik 日本
米国の宇宙空間における最大のライバルは「中国」
軌道上に軍事システムを展開するのを制限すべきだとするロシアと中国のイニシアチブに対し、米国が否定的に受け止めているのは当然の事だが、ロシアと中国が実施している地上システムの実験に対してさえも憂慮の念が示されている。米国は、他の国々が、宇宙からの攻撃に備えて防備を発展させることを抑え込み、宇宙空間での完全な行動の自由を自分のみに保証したいのだ。

状況は、今後10年間でさらに複雑化するかもしれない。ロシア、米国、中国に続いて、インドやイラン、イスラエル、北朝鮮、さらには恐らくブラジルやパキスタンも、宇宙での競争に参加すると見られるからだ。こうした国々は、活発な宇宙開発及びロケット打ち上げプログラムを持っている。いくつかの国は、そうしたものの軍事利用は、困難な軍事的政治的状況にプラスをもたらす基本的な要素であると捉えている。すでにいくつかのタイプの運搬用ミサイルや人工衛星を製造したイランの成功は、この国の潜在力が決して無視できないことを物語っている。

米国防総省 中国の航空宇宙技術の急速な発展に危機感 - Sputnik 日本
米国防総省 中国の航空宇宙技術の急速な発展に危機感
宇宙空間が、これまで空で、より具体的に言えば大気中で生じたのと同様の、新たな軍事対立の場となるのは避けられないだろう。宇宙テクノロジーの困難さや、開発に要する期間の長さ、そしてコストの高さなどが、そのプロセスをゆっくりとしたものにするかもしれないが、対立への道がストップする事はまずないだろう。宇宙空間の軍事化において妥協ができる可能性は少ない。なぜなら、現在世界には、宇宙空間の軍事利用において言い争う余地のない唯一のリーダーが存在しているからだ。それは言うまでもなく米国である。しかし彼らには、自制する用意などない。米国と政治的にライバル関係にある宇宙大国、例えばロシアや中国が、米国の力に対抗する措置を今後取ってゆくのは当然の成り行きだ。その事は今後、対人工衛星兵器の開発と発展という連鎖反応をもたらすに違いない。

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