米国はこれまで度々地域紛争を利用し、自らの利益にあわせて「カラー革命」を起こしてきた。それらは旧ソ連空間以外では局地化されなかった。2003年、米国はグルジアで「カラー革命」の技術を試した。シュワルナゼ氏にとってかわったサアカシヴィリ氏は公然と親米政策をとり、ジョージ・ソロス財団から直接投資を受けた。これに弾みをつけられた米国はさらにウズベキスタンとキルギスで2005年、「カラー革命」を起こそうとしたが、叶わなかった。2009年4月のモルドバ騒乱に米国務省が参加していたという証拠もある。
2008年8月、露米関係がさらに悪化する契機があった。グルジア軍の南オセチア進軍だ。ロシアは南オセチア市民(その多くがロシア国籍を取得した)を守り、さらにグルジアに兵を進め、5日後、グルジア軍を一帯から追い払った。アブハジアも1993年以来、事実上グルジアから独立していた。そのアブハジアもコドル渓谷上流からグルジア兵を追い出した。ロシアは2008年8月26日、両地域の主権を承認した。この2地域はソビエト時代からグルジアからの独立を求めてきたのである。米国は同盟国グルジアにおけるロシアのこの成功をどうすることもできなかった。そうして旧ソビエト空間へのNATOの拡大を中断せざるを得なくなった。
露米関係に横たわる主要な問題のひとつが、イランの核開発に対するロシアの支援である。米国はイランに対して国連経由の制裁をかけ、また独自の二国間制裁をもかけている。それら制裁はイラン経済に深刻な打撃を与えている。ロシアは、対イラン制裁は問題を効果的に解決する方法ではない、とし、外交努力を傾ける必要性を訴えてきた。2015年7月14日、イランと国際仲介6カ国の協議が終了し、包括的共同行動計画が採択された。これが完全に履行されれば、先に国連安保理、米国、EUが発動していた対イラン経済制裁・金融制裁が全面解除される。
いま国際社会が抱える最大の問題のひとつに、シリア危機がある。危機がここまで拡大したのは、米国と筆頭とする外部のプレイヤー、また国内の反アサド派が仕掛けた、前代未聞の規模における、危機の「国際化」が原因である。外部からの干渉により、テロ組織イスラム国の活動も活発化した。米国がシリア政府との協力を拒んでいることが、イスラム国対策における主要な問題のひとつとなっている。
米国のオバマ大統領は国連総会の演説で、いま世界が抱える主だった脅威は、エボラウィルスであり、欧州におけるロシアの行動であり、シリア・イラクにおけるテロである、と述べた。ロシア外務省は、ウクライナにおけるロシアの行動をイスラム国と同一視するのは取りも直さず、米国とNATOにおけるその同盟諸国が自らの国家計画を実現するためにはダブルスタンダードも辞さないということを示すものであり、明らかな暴挙である、と規定している。