この問いに対する、アナリストや市場関係者の答えは一様ではないが、大部分は、中国からの否定的シグナルに対するパニックめいた反応は、やはり誇張されたもので、多くの点で投資家らが金融当局の支援能力を疑ったことから生じたものだ、と考えるようになっている。
しかし多くの分析専門家らは、これだけでは、市場の空気があれほど過激に変化した事の説明にはならないと見ている。
新聞「The New York Times.」は「投資家らを実際不安にさせたのは、中国当局が、ここ数週間、市場を支えるために前代未聞の措置を取った事だった。しかし目に見えるような結果は出ていない」と指摘し「これは、中国の指導者達が、中国経済をソフトランディングさせる能力を持たない事を如実に物語った。これは恐ろしい事だ」と報じた。
また新聞「Financial Times」は「中国は、この7週間に、株価を支えるため2億ドルを費やしたが、月曜日、市場介入をやめる決定を下した。そうした努力は意味がないと理解したからだ」と書いている。
中国市場での出来事により、原料や発展途上国の市場の価格が、大きな影響を被った。これは、これらの市場が、急激に発展する中国の需要に依存している事で部分的に説明がつく。ただ二つ目の理由も、一つ目に劣らず重要である。それは、安いドルの時代が終わるという期待から、これらの市場の脆弱性が高まっていると見られたからだ。
この事は特に、米国や欧州の例で明らかだ。先進諸国の金利や経済成長及び企業収益の状況は、一週間のあいだ明らかな形では変わっていない。米国経済は、成長を続け、企業収入は増加し、クレジットは減っている。
それにもかかわらず月曜日のダウ(Dow Jones Industrial Average)取引では、一時的に1000ポイント以上も下がった。史上最大の記録的な下げ幅だった。若干の大手企業の株価も、取引の過程で20%下落した。
新聞「The Wall Street Journal」は、こうした状況について「投資家達をひどく神経質にさせる要因の一つは、ここ数年、新たな景気刺激策を思いついてきた世界の金融当局が、現時点までに事実上、万策尽きてしまい、市場をあまり助けられなくなっているっことにある。また各国中央銀行の努力も、経済の安定的成長を、それほどもたらさなかった」と指摘した。
同新聞のインタビューに対しJanus Capital Group Incのアシュウィン・アランカー氏は「市場は、それ自体に委ねられている。連邦準備制度(FRS)は、自分達の武器をすでに使った。各中央銀行が今できる事は、市場の流動性を保つ事だ」と述べている。
一連の市場関係者は、月曜日に起きた市場の大規模な動揺は、多くの市場参加者が現在休暇中であり、そのため需要や供給の小さな変化でさえ、正常な状況より激しい反応が起きてしまう事が原因だと考えている。
なお新聞「Financial Times」はUniCreditの主任エコノミスト、エリック・ニールセン氏の次の言葉を引用している-
「すべての事は、言ってみれば『市場ヒポコンデリア(心気症)』の発作のようなものだ。治療するのは難しいが、正しい呼吸法と長めの散歩が『病人』の助けになる。パニックを起こしても、何の得もない。」