軍事評論家V・カーシン氏、南クリル強奪の試みはロシアには全面戦争に等しい

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ロシアはここ最近、南クリル諸島に対し、その発展に著しい資金を投入するだけでなく、諸島に配備されている軍部隊の拡大をも図っていることから、これが日本の政治家や専門家らの神経を非常に苛立たせている。

これについて戦略技術分析センターの専門家、ヴァシーリィ・カーシン氏は、憤慨や驚きには値しないとし、その理由として南クリル諸島では法に違反したことも、非常事態や扇動も行われていないとして、次のように語っている。

ラヴロフ外相:係争領土は日本との対話の題材ではない - Sputnik 日本
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「ソ連時代から南クリル諸島には第18機関銃砲兵師団が駐屯し、諸島の防衛にあたってきた。長期的な防衛手段が配備されていたものの、1990年代、高精度の武器が出現、発展するとそれらは意味を失った。こうした古い防衛手段は島を離れたが、師団はそのまま残り続けた。2008年まで、この師団は他のロシア軍の部隊と同様、新型の兵器や軍事機器の供給不足に悩まされており、古い武器は徐々に役に立たなくなっていった。

それでも南クリル諸島は係争領域であり、確固とした防衛がなされねばならない。というわけで、ロシアにようやくリソースが現れると、こうした長年置き去りにされてきた問題が着手されるようになってきた。クリル諸島の部隊は再軍備され、施設と設備が手入れされ、特別な建設が行われるなどされている。もし、ソ連崩壊後の経済が正常に運んでいたら、すべては徐々に進んだだろうが、そうはいかなかったため、2008年から2009年代までの間はロシアの防衛にとっては事実上何も行われなかったに等しかった。だが今、国に資金が現れ、南クリル諸島になんらかの大きな軍事活動が必要とされる幻想が生まれた。実際はこれは最小限度の行為で、目的はクリル諸島の軍事ポテンシャルが完全に退化するのを食い止め、軍に通常レベルのサービスを保障することだ。 しかも、旧弊したソ連の兵器を交換する時も可能性も到来した。こうしたプロセスは南クリル諸島だけではなく、ロシア軍全体で起きていることだ。」

Q:ロシアの防衛能力にとって南クリルの持つ意味はどれほど大きいか?

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「クリル諸島はオホーツク海に対するコントロールの維持およびロシア艦隊の行動を維持するために大きな意味を持っている。それに南クリル諸島の島々または南クリルと日本の間の海峡による体制自体、領土論争を南クリルの日本への部分譲渡ないしは全面譲渡という方法で解決した場合、この島々にどこの国の軍隊が残るか、海峡の航海はどうなるのかというような問題は、個別に合意をすりあわせることになる。こうした合意の締結はそれ自体、克服できない類の問題ではない。だが明確に理解しておかねばならないのは、前提なしに南クリルから撤退するというのはロシアの軍事上不可能だということだ。そんなことをすれば南クリルの状況を急激に複雑化させることになってしまうからだ。クリル諸島からロシア軍部隊を撤退させるが、同時に日本や他の国の軍の配備を制限するということもできる。」

Q:最悪のシナリオを想定すると、戦闘行為、武力で南クリル諸島を強奪しようということになるか?

「南クリル諸島に配備されているロシア軍は、これら諸島は何らかの突然の攻撃や特殊作戦またはピンポイント攻撃などで強奪することは不可能ということを保証している。

諸島にいるおびただしい数の近代的武器を装備したロシア軍部隊を解体するには巨大な軍事作戦、軍力が必要であり、その間にロシア側は結集し、報復が行えてしまう。しかもロシアは核大国であり、何らかの状況になれば、自国の領土保全のために核を使うことは幾度も口にしてきた。だがこれは南クリル強奪作戦のリスクを激しく引き上げるものだ。この島への攻撃はロシアとの全面戦争を意味する。私は日本といえども米国といえどもこんな道は選ばないと思う。」

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Q: ロシアは南クリルの兵員を増強することで、世界に向かって、この島々は法的にも、第2次世界大戦の結果としても自国に属するものと捉えるというシグナルを送り、この領域をそう受け入れ、クリルの強奪など考えるなという呼びかけを行っているのだろうか?

「そうだ。だが日本側は、私の判断では強奪など考えてもいないと思う。このため南クリルにおけるロシア軍の兵員増強は極めて実現性の低いカタストロフィー的状況のシナリオが起きた場合に保険をかける手段といえる。しかもこの保険は日本人に向けたものというよりは米国に向けたものだ。米国人は時に思いもかけない行動に出て、ロシアのこうした場所や他の弱い場所を噛み付こうとするからだ。一言でいえば係争地域はしかるべく守られていなければならないということだ。」

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