クリントン氏はまた、「私は最初から、米国民の雇用創出、賃金上昇、国家安全保障の強化につながる貿易協定を結ぶ必要があると語ってきた。他にも多くの疑問が解消されていないと思うが、私にとってはこの3点に尽きる」とし、TPPは「私が設定した高い基準を満たすとは思わない」と述べた。次期米大統領選共和党候補の中で最も支持率が高いドナルド・トランプ氏も、TPPを「ひどい合意だ」と指摘した。
クリントン氏の発言と未来の経済同盟の見通しについて、新潟国際情報大学の越智敏夫教授は、ラジオ「スプートニク」に次のように語ってくださった‐
「今回のヒラリー・クリントン氏のコメントだけでは、理由がよくわからないところはあると思います。けれども、やはり民主党同士の政権の移動ということになれば、オバマ政権とどう違う政治を行うのかという必要が出てくると思います。オバマ政権を民主党から引き継いでヒラリー・クリントン氏が政治をするのであれば、どこがオバマ氏と違うのかというところを強調したかったのではないかと思います。当然TPPは利益にもなれば不利益にもなり、それは産業とか年代、収入などいろんな人によって違うので、当然損をする人もいれば、得をする人もいるわけで、何か具体的なグループや階層に対する支持を取り付けようとして、ヒラリー・クリントン氏が反対をしたというよりは、とにかくオバマ政権とは違う面を見せたいという点が理由となって、ヒラリー・クリントン氏のTPPに対する反対となったんだと思います。日本政府はTPPをまとめるという交渉をした側です。このままヒラリー・クリントン氏が大統領になるまでずっと反対するのかどうかということは、恐らく日本政府も分からないと思います。
10月5日、米国と太平洋地域の11カ国が、世界最大の自由貿易圏創設に関するTPP協定について大筋合意した。一方で、それぞれの参加国ではTPPに関する公開討論が数か月にわたって行われる見込み。その他にも米国ではTPP発効に向けて議会の承認が必要となる。承認されなかった場合、この問題は、次期米政権に委ねられることになる。