監督のイザベル・クラーク氏とダニエル・コステル氏は極めて興味深く、スターリンという20世紀最大の問題を描いてみせた。映画はひとつの問いから始まる。「スターリンとは誰だったのか?ナチスに対する勝利者?人民の父?あるいは20世紀最大の犯罪者?」。
この映画の直後、ロシアの現大統領に関する番組が放送された。スプートニクが取材を試みたところ、フランス第2チャンネルの番組編成担当幹部、セシル・ブロシャル・サルヴィジョ氏は、「強烈な個性を持つ人物の特集を並べただけだ」と述べ、他意はないむねを強調している。
しかしシリア紛争を背景とする情報戦争のただなかで、同テレビ指導部が単にロシアという共通項からこれら2つの映像作品を立て続けに放送したとは考えにくい。
政治に詳しいジャーナリストのジェロア・コルマン氏は、国営放送の番組編成は政府の立場を反映するものだ、としている。スプートニクの独占インタビューで、氏は次のように述べた。
「フランスはもとより欧州全域で、左寄りであれ右寄りであれ、あらゆるメディアが国益を反映している。ふだん反資本主義、反NATOを掲げる批判的メディアも、リビアやマリ空爆、中央アフリカ共和国、シリア蜂起勢力支援などに関しては常に政府の立場に同調する」
コルマン氏によれば、こうした操作は危険をはらんでいる。洗脳が手軽に行われる時代なのだ。「これはテレビ視聴者の洗脳を目的とした、シリア・ロシアに対する情報戦争におけるプロパガンダ・キャンペーンだ」。
「たいていの人は、インターネットで主体的に情報を探す時間がない。夕方、このような番組を見ているうちに、そうか、プーチンというのは大独裁者であり、民衆を欺き、アサドのような独裁者仲間を支援しているのだな、と思わされてしまう」
「人々はこうして、意識を操作される。そうして侵略を支持するよう仕向けられる。自分たちは正常で、かれらが悪魔なのだと信じ込ませられる」
コルマン氏は以上のように述べた。