「フィガロ」紙によると、ドパルデュー氏はまず「イノセント」とは何を意味しているのかについて明らかにしている。ドパルデュー氏にとって「イノセント」とは、政治から離れている人、宇宙や目に見えない世界とつながっている人だ。またドパルデュー氏は、「イノセント」はロシアの魂の根底にも横たわっているとの確信を示している。そしてドパルデュー氏はこの考えを展開しながら、彼にロシアのパスポートを渡し、ロシア国籍を付与したプーチン大統領を賞賛している。ドパルデュー氏によると、ロシアの魂に触れただけで、ロシアがプーチン大統領のような指導者を求めていることが分かるという。ドパルデュー氏は、次のように指摘しているー
「私は、かつてフーリガンだったプーチン氏が、国を盗もうとしているオリガルヒと話しているのを聞いたが、プーチン氏は口が達者だ。オリガルヒが、プーチン氏を恐れている。他の多くの国とは反対だ」。
ドパルデュー氏は、プーチン大統領と頻繁に会っており、プーチン氏とは主に地政学について話をしているという。
「フィガロ」紙は、ドパルデュー氏は書籍の中で、ロシアを称え、米国を批判していると指摘している。ドパルデュー氏によると、「自分のハンバーガーにオムレツを押し込んでいる」米国は、「200年が経過した今も人を殺し続け、武器を放棄するつもりもなく」、「イノセント」からは程遠いという。
ドパルデュー氏また、アルジェリア戦争についてフランス政府のことも激しく批判し、第17代フランス大統領のルネ・コティ氏と第128代閣僚評議会議長のギー・モレ氏を、ヒトラーそしてスターリンにたとえている。
またドパルデュー氏は、理性と知識をほめちぎる知的な啓蒙運動に関する軽蔑の念も率直に表している。ドパルデュー氏は、次のような見解を表しているー
「我々が啓蒙の文化を受け継いでいるから、私は自分をフランス人だと感じることが少なくなっているのかもしれない。なぜなら啓蒙時代のテキストは、政治的、軍事的なものだからだ。そして、この(政治、軍事的な)知識への尽きることのない欲望は、(人類にとって)最悪の不幸かもしれない」。
ドパルデュー氏の精神生活だが、ドパルデュー氏は当初ハタヨガに熱中し、その後、エジプトの歌手ウム・クルスームに魅了され、イスラム教徒となったという。ドパルデュー氏はイスラム教を熱心に信仰し、1日に5回祈りを捧げ、2年前から寺院に通っている。