その一方で米国は韓国に対してMDシステムの構築を執拗に提案している。これは現在日米が創設しているものに類似する。またこの地域の水域に米国の原子力潜水艦のプレゼンスを拡大し、韓国の南部に「補足的な戦略的要素」を展開させるための交渉も続けられている。おそらくこれはF-22の第5世代戦闘機ラプターのことを指しているものと思われる。米国はラプターを1月23日、横田基地に配置した。中谷防衛大臣はこれを「米国の抑止力」と呼び、北朝鮮の核実験後、北東アジアの情勢が緊迫化するなかで日本にはこうしたけん制が必要との見方を示している。
第1に、北朝鮮の核の自立性よりも中国を脅かしているのは、南シナ海、東シナ海での中国の活発な活動を制限しうる日米韓の軍事同盟の強化だ。第2に、北朝鮮にあるシステムの不安定化や崩壊を中国は深刻に危険視している。これはドイツのシナリオにそった朝鮮統一や、中国との国境に米国の最大の連合国が誕生する危険性を引き起こすからだ。中国はこれを望まないために、自ら国連安保理で一票を投じたにもかかわらず、その制裁体制に北朝鮮が違反することに目をつぶっている。
ロシア科学アカデミー極東研究所、朝鮮調査センターのアレクサンドル・ジェビン所長は、自国の主たる経済パートナーを打ちのめしたくないために、米国は中国に対し北朝鮮へ圧力をかけるよう説得しようとしているとの見方を示し、次のように語っている。
「日米の行動は北朝鮮に対し中国を使って圧力をかけようとするものだ。もちろん、ロシアも米国も中国も朝鮮半島に核軍備が進むことに無関心というわけではない。だが、米国はそもそも初めから北朝鮮と話をまとめる気はなく、逆にわざと北朝鮮を煽動してこういう行動を取らせていると私は思う。この話が始まったとき、ワシントンポスト紙は、かなり仮説的に留まり続けている北朝鮮の脅威はこの地域におけるMD展開のための唯一のまあまあシリアスな論拠だと評した。金正恩体制および北朝鮮が存在しているということは非常に好都合なのだ。米国自体にとって深刻な脅威はない。米国防総省の報告書でさえ、北朝鮮の大陸間弾道弾の弾頭は未だに作られていないことは指摘されている。その代わり、この地域で米国が自国の軍事アピアランスや影響力を強化するための前提条件がある。この前提条件を日本もまた利用し、国防力の拡大に使っているのだ。」