一方ロシアからの観光客はどれくらいかというと、国別ランキングで19番目で、全体の0,2%に過ぎない。確かにこれは多いとは言えないが、ルーブルの対ドルレートが大きく下落し、航空券が割高な現在の不安定な経済状況下では、悪くない数字だと言える。この1月と2月、東京で様々な行事が続いた事も、ロシア人の訪日を増やす上でそれなりの役割を果たした。例えば「ロ日産業貿易対話」だけでも、かなりの数のロシア実業界の代表者が日本を訪れた。演劇や合唱団など多くのアーチストの公演もあった。スポーツ選手も少なくなかった。なお個人ツアーでは、スノーボードやアルペンスキーの愛好者達が優勢だった。ただロシア旅行業者連盟は「ロシア人は、休暇を温かい夏のシーズン近くに取る傾向が高いので、冬の観光ツアーに人気が出るのは、まだ先だろう」と見ている。
JTOの主任マネージャー、アナスターシヤ・セヴェロワさんは、スプートニク日本のリュドミラ・サーキャン記者のインタビューに応じ「スキー好きの人達は、日本の冬の保養地に一度来ると、その後何度も、そこを訪れる傾向がある」と指摘し、次のように続けた-
「日本に対する関心が、無くなる事は決してなかった。通貨市場に大きな変動があった2015年に比べ 、現在我が社では、ツアーの売り上げが伸びている。これは三ツ星ホテルに泊まる団体ツアー客にも、VIPクラスのツーリストにも言える事だ。もしこれまでと比べるなら、スキー客が増えたと言える。以前はロシア人の中で、日本にアルペンスキーのための保養地がある事を知っている人は少なかったが、今は宣伝のおかげで、多くのロシア人が、日本のスキー場で滑ってみたいと望んでいる。そして多くの人が、スキーと海岸での保養とを組み合わせている。つまり北海道や本州で、まずスキーを楽しみ、その後で、例えば沖縄に行くといったコースだ。もちろんこれは、トルコやエジプト、キプロスに行くような団体ツアー客ではないが、それを望む一定数のお客さんがいる。まして今ユーロのレートが上がり、欧州に比べて日本旅行は、比較的手ごろなものとなっている。」
ロシアから日本への基本的な旅行者の流れは、地理的な近さにより、やはり極東からが多い。ロシア西部及び中央部の住人にとっては、日本が。はるか遠くのエキゾチックな不思議の国だとするなら、サハリンなどの沿海地方の人達にとって、日本は極めて身近な国である。彼らは、日本の料理や文化、風習を愛し理解している。
「春には桜、秋には紅葉を見に行くという,シーズンの二つの山場がある。最近では、藤や椿の見ごろはいつかといった問い合わせも来るようになった。5月の祝祭日に行くというのも、かなりの人気がある。」
また外国のビジネスマンや実業家などを日本に引きつける要素として、忘れるわけにはいかないのが、常に日本のどこかで催されている多種多様のイベントや見本市だ。統計によれば、1年間で日本では、およそ2700もの国際見本市が開かれ、8万人以上の外国人専門家が訪れているとの事だ。おまけに、日本へのイベント・ツアーの人気は、年々高まる一方だ。なぜならイベントは、企業活動の発展拡大にとって素晴らしいチャンスを与え、また新しいパートナーや取引先を見つける場でもあるからだ。そしてますます多くのロシア人ビジネスマンが、日本の国際及び国内見本市などに姿を現すようになった。テーマで言うならば、やはりロシア人が最も大きな関心を示すのは、自動車ショーやロボット展、様々な領域でのハイテク見本市だ。その他、意外に思われる方もいるかもしれないが、理容・美容分野での展示会も、ロシア人の間で人気を集めている。