ロシア連邦観光局のセルゲイ・コルネーエフ副局長は中国人観光客の増加には世界中が歓迎しているとの見解を表し、次のように語っている。
「中国に中間層が現れて、その途端に世界を学びに飛び出した。中国人は、観光業が発展しているほぼすべての国で歓迎される。そして、海外休暇中の消費額でほかを凌駕する中国人観光客は、今では高級店の最上客だ。中国国内の景気停滞にも関わらず、中国人の海外旅行での消費総額は、2150億ドルに達する。これは、ベトナムの国内総生産に匹敵する。さらに、2015年の海外旅行中の消費総額は前年比で、世界平均では3.1%増だったのに対し、中国人による消費総額は53%増だった。また、2015年、中国人観光客受け入れにより最も利益を得た国は日本だった。訪日中国人の消費額は、一年でほぼ50%増えた。これらには円安や対中ビザ要件緩和が影響している。ロシアに関して言うと、ロシアには昨年100万人以上の中国人が訪れた。中国人観光客は旅行中、平均1万5000中国元(2500ドル)消費することを考慮すると、2015年で中国人がロシアに落としたのは2億ドル以上ということになる。今後、この数字は伸びていく一方だと確信している。観光分野では、サービスを『チャイナ・フレンドリー』規格に順応させ、サービスを中国人向けにしている。また、新たな便が就航し、便数も増えている上、ルーブル安は、買い物好きである中国人にロシア観光をよりお得にしている」
ロシアへの観光客の波の増加は、越境の要件緩和のおかげでもある。露中間に協定が結ばれ、隣国である両国を訪れる際、観光客にとってビザ取得は必ずしも必要ではなくなった。ツアーを申しこむとビザの代わりに、ビザなしグループのリストが作られる。この際、グループには5人以上50人以下の参加者が必要で、滞在期間は15日を越えてはならない。しかし、すでに両国の間で、グループの最低人数を3人まで減らし、最大滞在期間を21日まで伸ばす修正案が審議されている。この修正案が実現されれば、中国人観光客のさらなる増加につながるだろう。なぜなら非常に多くの中国人が家族や友人とともに世界を旅行するからだ。修正案採択がいつとなるかその期日は明らかにされてはいないが、何かの行事や公式訪問によるハイレベル会談に合わせて採択される可能性は除外されない。直近にはこうした行事として、6月、ウラジーミル・プーチン大統領による中国訪問が挙げられる。