ロナルド・レーガン号は6月5日、横須賀港を出港、この同日、ステニス号は4月上旬からずっと留まり続けていた南シナ海を出た。南シナ海で中国は数カ国を同時に相手にした領土論争を行なっている。3ヶ月もの間、ステニン号はその船体によって地域における中国の行動が活発化していることへの米国のリアクションを象徴してきた。それは島をめぐる話だ。これは事実上、中国に掌握されているものの、そのほかの国々が領有権を主張する諸島の事をさす。中国は諸島を露骨に開発し、人工島を建設し、中国に対抗する者たちの見解では、南シナ海の著しく大きな水域の管轄権を主張している。これが南シナ海の近隣諸国にも、この水域の交易路に依存している日本にも米国にも気に入らない。中国自身は、こうした諸国はこの地域の緊張をエスカレートさせるために故意に米国の支援を利用していると考えている。特にステニスを参加させた米国、フィリピンの南シナ海での合同警備は「冷戦のメンタリティーを具現化」し、この地域を軍国主義化するものとして中国の厳しい非難を呼んだ。
未だに中国を叩き、地域でこれに圧力を講じようとする米国の試みはさしたる効果を上げていない。中国は弱みを一切見せておらず、自国にとって原則的であると考える立場とは妥協する構えだからだ。
ロシアはこの状況では介入しない立場をとっている。東洋学者のイリヤ・ウソフ氏はこれは中国とのパートナー関係を優先しつつもアジア太平洋諸国との多極的な結びつきを発展させるという国益に叶うとして、次のように語っている。
ウソフ氏は、仮に地政学的にロシアがこうした論争のどちらかの肩を持つことになれば、ASEAN地域におけるロシアの外交政策は完全に瓦解し、地域の隣国との関係に予測不可能なほど多大な影響が及ぼされてしまうと語っている。