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「原発周辺地域の除染は徹底されておらず、土壌や草木に残る放射性物質が火災の際の強風にあおられ、大気中に拡散したものとみられる。7月の火災で、周囲に設置されたモニタリングポスト1カ所で基準値の10倍に増大したセシウム137を検出した。原発事故で放出された放射性物質である。地元メディアによれば、ウクライナ当局は「健康被害はない」ことを強調し、関連する他の詳細な情報は明らかにしなかった」
この産経新聞の記事は「火事は福島第一原発周辺でも発生する恐れがあり、今回の出来事は、日本政府に対しても大きな教訓を与えそうだ」と締めくくられていた。まさにその通りになってしまったわけだ。
福島の火事に関するリスクについての報道の反響は、様々だった。放射性物質飛散の懸念を示した和歌山県田辺市の新聞社「紀伊民報」は、このテーマについての記事を発表し、不安をあおったとして謝罪を余儀なくされた。スプートニクも、毎日新聞が報じた放射性セシウム137の濃度上昇についてのニュースを引用して報じたほか、放射性物質拡散の危険性について指摘した「グリンピース・ロシア」のアントン・ベネスラヴスキー氏のコメントをご紹介した。彼は、チェルブイリ原発事故によって汚染された山林火災の消火活動に参加した人物である。この記事は一部の読者の方々の不安をかきたててしまったため、スプートニクは、直接ベネスラヴスキー氏に、より詳しい話を聞くことにした。
ベネスラヴスキー氏「私たちが消火活動にあたっていた場所は1時間あたり40、60、あるいは100のミクロレントゲンの放射があった。この線量の数字自体はそんなに危ないものではない。特に、防護装備を用いている場合には。しかし、土壌に含まれている放射性物質を帯びた埃は、火災の際に空気中に舞い上がり、それが呼吸や飲食物を通して体内に入ると、もしかすると健康に深刻な害を及ぼすかもしれない。研究結果によれば、こういう埃が遠くに飛んでいくことはあり得ないということだ。しかし非常に大規模な火災の場合には、理論的には、より広範な放射性物質の飛散があるかもしれない。しかしながら基本的に、危険性はまさに火事が起きている現場にある。防護服などの装備はこのリスクを下げはするが、ゼロにはしない。更に、放射線と違って、埃の有無を検出することは非常に難しい。福島とその周辺地域に関しては、かなり高い確率で予想すると、ブリャンスク州(チェルノブイリのある場所)で起こったのと同じ現象、つまり火事現場からそう遠くない場所へ、放射性物質の拡散が起きたと思う。そしてそれは、消火にあたった消防士や自衛隊員の人々に健康リスクがあるということを意味する」
とにもかくにも、チェルノブイリ原発事故の直後、事故の現況について住民たちに知らされなかったことはたくさんの根拠のないうわさを呼んだ。ロシア当局はこの件に学び、教訓とした。福島の事故から6年、日本の当局も情報公開の重要性を理解しているはずだ。