ロシア代表団長を務める上院国際問題委員会のコンスタンチン・コサチョフ委員長は、スプートニク日本記者のインタビューに応じ、次のように述べた-
「露日議会間の交流は、極めて低迷した状態にあったが、現在我々は、両国関係が質的に新しい段階に発展しつつあるのを目にしている。日本側は、関係正常化を領土問題の解決次第とする従来の強硬な立場を放棄した。ただ我々は、いかなる幻想も抱いていない。日本が領土問題に関係した自分達の原則を放棄してはいない事は理解している。しかし固い結び目はほどかれた。そのおかげで我々は、政治対話に左右されることなく、貿易経済、技術、文化、人道的協力において前へと進む可能性を得ている。今回の我々の訪問は、政治的コンタクトに触れるものではない。そのためには、他のメカニズムがある。しかし我々は、両国関係が、正常かつ建設的なものになることに関心を抱いている。両国には、多くの共通点がある。両国議会は、まさにそうした関係の発展に、そして両国の世論が、相手に対し好感を抱くようにすることに貢献できるものと確信している。すでに現在、ロシアと日本の姉妹都市間や大学及び研究所、企業間での協力や代表団の交換、交流が進んでいる。我々は、地域の輪を広げ、極めて様々なレベルで、それを永久に変わらない関係の軌道上に乗せたいと考えている。」
コサチョフ団長の楽観主義は、このところ生じている二国間関係の極めて好ましい出来事の上に立ってのものである。
ウラジオストクには秋に、日本の投資を先行発展領域(TOR)やウラジオストク自由港に引き入れることを目指す露日合弁企業のオフィスがオープンする計画だ。これについては、日本の国際協力銀行(JBIC)と極東投資輸出促進庁の間で合意がなされている。国際協力銀行の前田 匡史(まえだ ただし)代表取締役副総裁の言葉によれば「同銀行は、日露合同プロジェクトを支援する用意がある」との事だ。
この一年の間に、日本のJGC Corporation(日揮株式会社)とHokuto Social Medical Corporation(社会医療法人北斗 北斗病院)は、ウラジオストクに、リハビリテーションセンターをオープンさせる考えだ。
そのために彼らは、新しい会社JGC Hokuto Healthcare Service.を立ち上げつつある。JGCは、プロジェクトの第一段階にほぼ400万ドルを投ずる意向で、すでにセンター開設のための場所を探している。一方Hokutoは、センターで研修する機会をロシアの医師達に与え、その後、彼らにアドバイスをしてゆく計画だ。
「JGCはすでに、ロシア市場に存在感がある。自身を素晴らしくアピールしており、彼らがロシア市場から去らないとすれば、それは、ここで活動することに利益がある事を意味している。JGCは、ロシア極東の気象条件の中で、日本の技術を利用して温室を建設する事から始めた。すでにいくつかの総合温室施設が使われている。ハバロフスク地方やヤクート共和国、ザバイカル地方でも温室が建設されている。これは、極東にとって大変重要なプロジェクトである。人々は、このプロジェクトから実際の利益を感じている。そうしたプロジェクトは、世論を形成するものだ。さらに日本からは、たくさんのアイデアが寄せられている、その中には、大変興味深いもの、我々の目から見て将来性のあるものがある。しかしよく知られているように、実現に着手する前に、日本の方達は、プロジェクトのあらゆる詳細を長い間チェックする。現在ロシア極東には、彼らを最高に優遇する体制が作られた。この事は実際、大きな可能性を開いていると思う。」
このように指摘したコサチョフ団長は又、日本企業が税制上の特典を受け、彼らに対し投資プロジェクト経費やリース料の経費の一部に助成がなされ、設備投資やインフラ整備などの費用の一部が補償されるなど、多くの優遇措置が講じられることを確認した。