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6月1日、世界の情報通信社の指導者と会見した際、プーチン大統領は「日米安保条約を根拠に米国の軍事施設が置かれる脅威がある事に関連して、南クリルの主権の日本への譲渡は、原則としてあり得ない」との立ち場をはっきりと示唆した。
別の言葉で言えば、プーチン大統領は、南クリルに関し妥協がなされた場合、まずロシアの安全を保障する問題について討議するよう提案しているのである。大統領は、自分にとって主要な問題に関し、まずはっきりさせることを欲し、その後で初めて、南クリルでの共同経済活動プロジェクト上でなされる歩み寄りの形態に関し交渉する用意があると考えている。現在、安全保障問題の文脈の外で、そうしたプロジェクトの実現を開始するのは「時期尚早だ」というのが、大統領の意見だ。
その際、共同経済活動に関する交渉そのものは、取りやめになるわけではない。このことは6月8日に、マリヤ・ザハロワ外務省報道官が明らかにしている。
プーチン大統領は、来年2018年3月の大統領選挙への出馬について、公式に発表はしていないが、彼が立候補し、再選されるであろうことを疑う向きは少ない。
その一方で、対日関係のきわめて繊細でデリケートな問題に関し、おまけに一般のロシア人にとってはあまり理解されていない問題について、かくも強硬な立場を、単に有権者向けというだけの理由で示したとの説明も正しくない。恐らく大統領は、平和条約をめぐるロシアと日本の交渉の行方を注意深く見守っている米国や中国政府にも、聞いてほしいと考えたのだろう。
「北方領土」と交換に日本が米国との軍事同盟を放棄するなどと期待するほど、プーチン大統領は単純ではない。他方プーチン大統領には、非現実的な条件を持ち出すことで、安倍首相との交渉を失敗させたいと思っているような気配もない。
いずれにしても、日本政府は、ロシア大統領の立場により明確に反応するようになるだろう。すでに3週間後には、G20の場でプーチン・安倍会談が予定されているのだから、なおさらである。