スプートニク日本
スプートニクは、世界経済・国際関係調査研究所で日本政治経済研究部門長を務めるビタリー・シヴィドゥコ氏に、江崎氏のこれらの発言は、互いに関連しているのか?もしそうなら、その意味をどう受け止めればよいのかと聞いてみた。シヴィドコ氏は、「江崎氏がこの2つの問題、クリルの問題と沖縄の基地問題とを個人的に結び付けた、ということはないだろう。もちろんこの2つのテーマは、客観的に見れば関連性があるのだが」と答えた。
その上、日本側もはっきりと「もし係争中の島々がまた日本のものになったら、そこに米軍基地ができるかもしれない」という態度を示してきた。このように、この問題の解決には、何よりもまず日本側の決断力が要求されている。それはまさに米国との同盟関係にかかわることである。果たしてそんなシナリオは現実的なのだろうか。
米国のトランプ大統領は、同盟国に対し、アジア太平洋地域において、それぞれの国が自力で自国を守れと大っぴらに言ってのけた。専門家たちはもう何度も、「日本は米国から完全に守ってもらえるということを、100パーセントあてにしてはおらず、その望みのかけ方は少なくなっている」と指摘している。
日本にとっては、もしかするとこれは大きなプラスであると、理解するときが来たのではないだろうか。なぜなら日本は隣国との関係を、米国の監視無しに、自由に構築することができるのだから。
このような政治的挑発が、米国の気をひかない、ということはないだろう。江崎氏の勇気ある発言に対して、米国からはどんなリアクションが来るだろうか。
シヴィドコ氏「米国からの反応はあるだろうが、とても抑えたものになるだろう。またはもしかすると、この問題を先鋭化させて注意を向けさせないために、これは日本の内閣の本流ではないところで起きた個別の出来事であるとして、あえて無視するかもしれない。米国は、日本における個々の政治家同士の政治的抗争に首をつっこまないようにしている。もし米国側が何か言ってくるとしたら、可能性が高いのは、また今回も、米国は日本を最も大事な同盟国だとみなしており、日本との取り決めに従い、日米安全保障条約に基づいて義務を果たしていくというような内容のことだろう。一言で言えば、いつもの台詞だ」
いつか日本にも、どちらの道を行くことが国益になるのか決めなければならないときが来るだろう。クリル問題が実際に解決して島が返ってくるかもしれないということは、どれほど日本にとってメリットがあるのだろうか。ともかく、どんな場合においても、米軍基地が沖縄にあることのメリットは明白なものではない。なぜなら沖縄の米軍基地は、長きにわたって騒音や軍事施設が近くにあることによる危険性によって、沖縄人を苦しめてきた。基地反対運動が沖縄で最も盛んに行なわれているのも偶然ではない。