江崎沖縄北方相、日米地位協定の見直しに言及:政治的挑発か、新しい方向転換か?

© REUTERS / Kim Kyung-Hoon江崎沖縄北方相、日米地位協定の見直しに言及:政治的挑発か、新しい方向転換か?
江崎沖縄北方相、日米地位協定の見直しに言及:政治的挑発か、新しい方向転換か? - Sputnik 日本
サイン
新しい沖縄北方相である江崎鉄磨氏は、北方領土問題に関して自分は素人であると公言。菅官房長官がこの問題の火を消したと思ったら、また江崎氏が新しい発言をした。今回の発言はスキャンダラスで、エスタブリッシュメントに大騒ぎをもたらすものだ。江崎氏は、超えてはならない一線を超え、日米地位協定の見直しについて言及したのだ。

スプートニク日本

スプートニクは、世界経済・国際関係調査研究所で日本政治経済研究部門長を務めるビタリー・シヴィドゥコ氏に、江崎氏のこれらの発言は、互いに関連しているのか?もしそうなら、その意味をどう受け止めればよいのかと聞いてみた。シヴィドコ氏は、「江崎氏がこの2つの問題、クリルの問題と沖縄の基地問題とを個人的に結び付けた、ということはないだろう。もちろんこの2つのテーマは、客観的に見れば関連性があるのだが」と答えた。

クリル - Sputnik 日本
江崎鉄磨氏の発言:新しいアプローチか、それとも軽率な率直さか?
安倍内閣の支持率が下落したからといっても、安倍首相が、ロシアとの領土問題を解決したいという野心を捨てた、ということはないだろう。ロシア側は、「日本に米軍基地がある限りは、領土問題での前進は実際的にゼロに近い」ということを、日本に対してはっきりと理解させようとしてきた。もしかしたら江崎氏が日米地位協定の見直しに言及した原因は、これではないだろうか?

その上、日本側もはっきりと「もし係争中の島々がまた日本のものになったら、そこに米軍基地ができるかもしれない」という態度を示してきた。このように、この問題の解決には、何よりもまず日本側の決断力が要求されている。それはまさに米国との同盟関係にかかわることである。果たしてそんなシナリオは現実的なのだろうか。

米国のトランプ大統領は、同盟国に対し、アジア太平洋地域において、それぞれの国が自力で自国を守れと大っぴらに言ってのけた。専門家たちはもう何度も、「日本は米国から完全に守ってもらえるということを、100パーセントあてにしてはおらず、その望みのかけ方は少なくなっている」と指摘している。

日本にとっては、もしかするとこれは大きなプラスであると、理解するときが来たのではないだろうか。なぜなら日本は隣国との関係を、米国の監視無しに、自由に構築することができるのだから。

江崎沖縄・北方担当相 - Sputnik 日本
江崎沖縄・北方担当相 北方領土問題について自分は「素人」、「答弁書を朗読させていただく」
シヴィドコ氏「実に、最近、日本のこの問題に対する関係は懐疑的なものだ。もちろん日米安全保障条約の見直しなどは誰もやろうとしていないのだが。私が知る限り今のところ、そんなことは検討されてもいない。私が思うには江崎氏の発言は政治的挑発だと思う。これは、日米の防衛関係において、日本がじゅうぶん独立した国であるということをデモンストレーションするための試みではないだろうか。もちろんこれは試みだけのことで、安全保障分野において米国との関係を絶つなどということは現実的ではない。そんな時期はまだ来ていない」

このような政治的挑発が、米国の気をひかない、ということはないだろう。江崎氏の勇気ある発言に対して、米国からはどんなリアクションが来るだろうか。

シヴィドコ氏「米国からの反応はあるだろうが、とても抑えたものになるだろう。またはもしかすると、この問題を先鋭化させて注意を向けさせないために、これは日本の内閣の本流ではないところで起きた個別の出来事であるとして、あえて無視するかもしれない。米国は、日本における個々の政治家同士の政治的抗争に首をつっこまないようにしている。もし米国側が何か言ってくるとしたら、可能性が高いのは、また今回も、米国は日本を最も大事な同盟国だとみなしており、日本との取り決めに従い、日米安全保障条約に基づいて義務を果たしていくというような内容のことだろう。一言で言えば、いつもの台詞だ」

沖縄【アーカイブ】 - Sputnik 日本
延々と続く政府と沖縄の訴訟合戦:埋め立て用土砂の運搬拒否は救いの手となるか
日本は、一方ではロシアとの領土問題を解決したいと望んでいる。しかしプーチン大統領の「米軍基地ができるかもしれないのなら、島を引き渡すことはできない」という言葉を日本も覚えているだろう。であるから日本は、クリル問題の協議において、ロシアから何らかのプレゼントを期待しているということはあるまい。他方、米国との同盟関係を見直すことは不可能である。なぜなら日本にとって中国の脅威は、アジア太平洋地域の日本の主導権をおびやかすものであるからだ。このような状態でロシアとクリル問題について協議しても、日本は袋小路に陥るだけだろう。

いつか日本にも、どちらの道を行くことが国益になるのか決めなければならないときが来るだろう。クリル問題が実際に解決して島が返ってくるかもしれないということは、どれほど日本にとってメリットがあるのだろうか。ともかく、どんな場合においても、米軍基地が沖縄にあることのメリットは明白なものではない。なぜなら沖縄の米軍基地は、長きにわたって騒音や軍事施設が近くにあることによる危険性によって、沖縄人を苦しめてきた。基地反対運動が沖縄で最も盛んに行なわれているのも偶然ではない。

ニュース一覧
0
コメント投稿には、
ログインまたは新規登録が必要です
loader
チャットで返信
Заголовок открываемого материала