ツアー参加者の大多数がサハ共和国を訪れるのは今回が初めてだった。だが、久間氏にとっては4回目の訪問だった。しかし以前の訪問は仕事上のもので、経済協力と関係していたが、今回の目的は、同胞にサハ共和国の自然の美しさやユニークさを紹介することだった。
サハ共和国の気候はきびしい。だがその自然は素晴らしく、この地を訪れた者は、その奇跡のような美しさに魅了されずにはいられない。訪れる人々に強い印象を与えるレナ川沿いに40キロにわたって切り立った石柱が連なる「レナ川の柱群」もその一つだ。なお風やその気候条件によって岩の輪郭は毎年変わる。またサハ共和国には、有名な「寒極」オイミャコンもある。オイミャコンは、遊牧民の伝統的な円錐型の組み立て式家屋ユルタに住むトナカイ飼育者たちの村だ。さらに1955年に採掘作業が始まった直径1200メートルの世界最大級のダイヤモンド鉱山に位置するミールヌィ村の採掘場「ミール」や、1970年代に1万2000年前のマンモスの骨7000本以上が見つかった所謂「マンモスの墓場」、ヤクーツクにあるマンモス博物館や永久凍土博物館、またチェルキョフ村の野外歴史民俗博物館「ヤクーツク政治リンク」などがある。なおこれらはサハ共和国の観光名所のほんの一部にすぎない。
「サハ共和国では、マンモス博物館、永久凍土、レナ川クルーズ、自然公園『レナ川の柱群』、ヤクーツクのダイヤモンド博物館、また『寒極』として知られるオイミャコン村などを訪れることができます。またヤクート人の独特な文化も忘れてはなりません。日本人が最も感動したのは『レナ川の柱群』でした。日本の人たちは、『レナ川の柱群』がユネスコの世界遺産に登録されていることも知りませんでした。サハ共和国の観光プログラムは、その内容の豊かさと珍しさで他の多くの旅行と異なっています。サハ共和国には、実際にここでしか見ることのできないものがたくさんあるのです」。
近年、経済の様々な分野におけるサハ共和国と日本の協力が著しく活発化した。日本でサハ共和国の代表者として12年間働いた経験を持つバラムィギン氏は、サハ共和国と日本の経済分野の協力について、次のように語っている-
バラムィギン氏によると、ロシア訪問を望む大多数の日本人にとって最大の悩みの種は、ビザの取得手続きだという。ロシア外務省と日本外務省の合意によって両国民のビザ取得手続きは大幅に緩和された。特にロシア人は、日本へ渡航するための保証人を探す必要がなくなった。だが日本人は世界中をビザなしで訪れることに慣れているため、ビザ申請するための書類を用意する簡単な作業や、ビザの発給を待つことを不快に感じる。
なお、100人からなるサハ共和国の観光客たちが日本を訪れ、ビザ申請から発給までの期間とほぼ同じ日数をかけて日本を旅行した。久間氏は、これらのツアーが観光分野における日本とサハ共和国の積極的な協力の始まりになるはずだとの見方を示している。また久間氏は、サハ共和国にさらに大勢の観光客を呼び込むためには、同共和国に「ヒルトン」のようなホテルを建設したり、観光インフラを整備する必要があると指摘している。さらに同氏は、日本への帰国後に、日本人の間で同地域への関心が高まっていることを受け、ヤクーツクへの直行定期便の運航について話し合いをするとも述べた。