米海軍第7艦隊 戦わずして破砕か

© REUTERS / Toru Hanai米海軍第7艦隊司令官のジョセフ・アーコイン中将
米海軍第7艦隊司令官のジョセフ・アーコイン中将 - Sputnik 日本
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米海軍第7艦隊司令官のジョセフ・アーコイン中将は「信用失墜による」不名誉な解任に追い込まれた。解任理由は、米軍艦の相次いだ海上事故であり、特に今年2件目の事故となったアーレイバーク級ミサイル駆逐艦「ジョン・S・マケイン」(DDG-56)とリベア船籍タンカーAlnic MCとのマラッカ海峡での衝突で責任が問われていた。

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言うまでもなく、これまでに発生した事故におけるアーコイン中将の責任は、少なくとも駆逐艦「フィッツジェラルド」と「ジョン・S・マケイン」が起こした衝突事故2件については咎められるべきだろう。この2隻の駆逐艦衝突事故には共通点がいくつかある。まず、接触したのは共に舷(船縁)部で、「フィッツジェラルド」は右舷の司令塔付近、「ジョン・S・マケイン」は左舷の船尾を損傷した。そして2隻とも舷に対し斜めの接触を受けたため、軍艦と商船が互いの進路を横切ろうとする途中で衝突が発生したものと判断できる。これは航行量が多い海域や海峡部では頻繁に起きることで、特にシンガポールに向かうマラッカ海峡ではよく見られる。

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互いの進路を横切ろうとする横切船との衝突回避能力は、航行および船舶操縦の基本技能の一つとされる。あらゆる船舶の船長、一等航海士、操舵手が習得すべき技能であり、軍艦ともなればなおさら必須のことだ。だが、「フィッツジェラルド」駆逐艦事故調査の結果、当直将校にこの技能がなかったのは明らかで、1972年の国際海上衝突予防規則(COLERG条約)の重大違反を犯していたこともわかった。これが一つの艦艇でのみ起きた事故であれば乗組員の人材育成が不十分だったと考えることもできただろうが、同様の衝突が繰り返された以上、もはや一乗組員の問題ではなく、米海軍第7艦隊全体が問題視されるようになったのだ。この他にも、ミサイル巡洋艦「レイク・シャンプレイン」(CG-57)が今年5月に韓国漁船と衝突したり、1月には別のミサイル巡洋艦「アンティータム」(CG-54)が東京湾浅瀬で接触するという事故を起こしていたことも記憶に新しい。将校に航海技能を習得させることは、まさに艦隊司令官の責任である。

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これらに加え、米海軍第7艦隊では、この数カ月間の非戦闘時に起こした航海事故によって、アーレイバーク級ミサイル駆逐艦2隻とタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦1隻の計3隻の戦力を失っている。2隻の駆逐艦は第7艦隊所属の第15駆逐隊を構成する艦艇だが、修理に約1年が必要とされ、その間の艦艇構成は3分の1に縮小する。これは米海軍第7艦隊全体への打撃ともなる。もう一方の巡洋艦1隻は、航空母艦ロナルド・レーガン(CVN-76)を構成する艦艇だが、浅瀬で座礁した結果、同じく修理に出されたため、この重要空母の護衛能力も半減。これらの損害は、同等戦力の敵軍と大規模な海戦で戦った際に被る損失と変わらない。その損害規模もまた、アーコイン中将の主な解任理由となった。

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これほどの不祥事が相次ぐと、朝鮮半島で戦争が始まったらどうなるのかという疑問を抱かずにはいられない。朝鮮半島水域は、周辺に小島が散在しており、流れの激しい海峡も多く、更に潮の干満によって海面水位が変わるため、艦隊が活動するには難しい海域とされている。第7艦隊に所属する当直将校が操舵技能に乏しく、行き合う商船を避けることもできないのであれば、朝鮮半島海域には向かうべきでないだろう。ましてや、北朝鮮海軍の全ての海上・潜水艦隊を待ち受けるなど論外の話だ。

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