今年7ヶ月で、米海軍艦の関与した事故が4件起きた。直近8月の衝突事故がきっかけで第7艦隊司令官のジョセフ・アーコイン中将は解任された。そして海域での米中の対立を考慮すると、このような事故の一連の原因のなかで中国というファクターを見落とすべきではないとミハイロフ氏は見る。
中国からの輸出最大4分の1と、世界の石油3分の1の輸送ルートであるシンガポール湾沖での米海軍の活動は現在、中国の大きな懸念を引き起こしている。中国は、戦艦を中国の戦略的利益ゾーンから手を引くよう米国に警告している。
このように、北朝鮮の核兵器抑止コンセプトの「混合物」を含んだ米中の世界的野心のあいだで地政学的「断層」はより目立つものになっている。米国がすでに中国山東省、江蘇省、安徽省、河南省上空の航空宇宙空間におけるレーダー制御を得る試みを成功裏に行ったことから、情勢は加熱している。中国も監視可能なレーダー設置とは、高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)の韓国での展開のことだ。
「米海軍イメージは最近の出来事のもとでもちろん、深刻に傷ついた。そして、計3分の1以上の米海軍が米領から遠く離れたNATOの海軍基地に駐留しているという事実はもちろん、重要な役割を果たす。世界の水域での覇権拡大の野心は海上での一連の衝突へと米国人を導く。このような量の海外の海域での作戦のもとでは、艦隊の状態管理とその管理メカニズムは疑いなく緩むためだ。」
トランプ氏は米艦隊を大幅に強化し、艦体を数十隻増やす意向だ。
「強力な艦隊は『筋力ゲーム』と、世界各地での米国の軍事力披露、北朝鮮やイラン、中国やロシアなど他国での抑制政策の実施の格好の手段となる。」
艦体の数を350隻にまで増やすというトランプ氏の計画実現には、さらに4000億ドルの軍事費増大が必要になると米議会は算出した。最近の米駆逐艦の事故に関わらず、現時点でのその脆弱性は平和な時代でさえ明らかだ。
「他国抑制」政策の代わりに、ただ野心を抑えるほうが良いのではないか?