サハリン初の日本の温泉プロジェクト

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本物の日本の温泉施設が来年の秋、サハリンの先進発展領域(TOR)『山の空気』にオープンする。ロシア極東開発省のエヴゲーニー・ワシリエフ氏は、「スプートニク」編集部の取材に応じ、このプロジェクトの概要について以下のように説明してくれた。

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「事業の総投資額は5億200万ルーブル(約10億円)で、その半分以上は日本人投資家の出資によるものです。事業の実施企業は地元サハリンの『ほのかサハリン』社で、外国パートナー企業として札幌市の株式会社丸新岩寺が参加しています。同社には娯楽・レクリエーション施設の建設や運営で45年もの実績があります。サハリンの温泉施設建設に関する商談には1年と言わず何年も要しましたが、今では鑑定審査を通過し、建設許可書類も発行されました。なお投資家の方々は、先進発展領域が入居企業に提供している特典や特権の全てを利用することができます。」

丸新岩寺社の岩寺晴夫社長がサハリン進出について承認したのは、ユジノサハリンスク市を個人的に訪問した後のことだった。市内にあるスパを数件回った結果、この類のサービス業が地元では人気があり、需要も高いことを理解したという。その後、サハリンの地理を調べはじめた。ユジノサハリンスク市内の地下源泉場所をかつて調査した日本の地理学者がまとめた資料に目を通し、旧豊原市の古い地図も開いた。因みに、その地図中に示されたかつての日本の温泉地は、今回建設を予定している場所と一致していたそうだ。また、施設内で今後提供していく温泉の泉質は、稚内にある温泉と化学成分が非常に似ているという。

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「ほのかサハリン」社のセルゲイ・ドミトリエフ社長も取材に応じてくれた。

「建物の設計については、まず日本人建築家が担当した後、ロシアの設計事務所でロシアに適応するよう調節しました。最初の基礎コンクリートの打設は9月初めに行う予定です。弊社では、日本水準という最良のサービスを提供することが重要だと考えています。単に入浴施設を建設するだけではなく、日本国内外で展開中の『ほのか』ブランドを構成する一社になろうと努めています。『ほのか』グループの施設は、北海道に10店舗、東京に3店舗、そして中国でも1店舗が営業しています。そして今度はサハリンで弊社の施設が誕生するのです。」

ドミトリエフ社長は、来日時に温泉を体験したことがきっかけで、サハリンで本物の日本の温泉施設を開業するという考えにのめり込むようになった。そのアイデアを実現させるため、彼は昨年、ユジノサハリンスク市議会議長の座を自ら降りたのだ。

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ドミトリエフ社長は自身の決断を次のように説明する。

「私たちには隣国から学ぶべきものがあります。(日本は)文化と世界観が全く異なる国です。日本人の平均寿命が他国の人々よりも10歳長いという事実に、「一体どうして?」という疑問が湧くでしょう。その秘訣は、日本にある数多くの様々な温泉にも関係しているかもしれません。例えば、札幌市には人口220万人に対し、ホテル内の小規模な浴場から独立した施設に至るまで約300もの入浴施設があるのです。サハリンでも同じようなことができると私は考えています。ここでは、スキーで活発な日中を過ごし下山した後に、日本式の風呂を満喫していただけるような環境が提供できるでしょう。」

建物の床面積は約4000平方メートル。1階には、男湯、女湯、露天および室内風呂、人気の高い岩盤浴、マッサージルームやSPAルームができる。設備の多くは日本から持ち込む予定。また施設内では、日本食レストランもオープンする計画だ。更に24時間営業なので、いつでも利用できる。スタッフ数は60人で、そのうちマネージャーと料理長の職については日本人を招く予定だという。

サハリンの先進発展領域「山の空気」では現在、総額107億ルーブルの投資事業6件が進行しているほか、2件の事業が審査段階にある。極東全体では18の先進発展領域が設立されている。

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