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アクティブSETI会長のダグラス・ヴァコッホ(Douglas Vakoch)氏は「これは、返事を手に入れるまで私たちがおそらく数百、数千、数百万回すらこれからしなければならないであろうプロトタイプだ。私にとって、25年後に(返事の信号を探すことを)思い出す誰かがいれば大きな成功となる。もし成し遂げられれば、急進的な視点の転換になるだろう」と述べた。
米国にあるSETI協会など世界中の受動的なSETIは半世紀以上に渡り、地球に届く信号を聞いて地球外生命体を見つけようとしている。現在のところ地球外生命体は発見できていないが、NASAやSETIの代表の計算によると、次の10〜20年でこの課題は解決される可能性がある。
56年間、SETIの研究者は唯一の小さく矛盾した例外を除いて地球外文明のはっきりした痕跡を見つけられていない。その例外とは、1977年にビッグイヤー電波望遠鏡で受信した信号「Wow! シグナル」である。観測者たちはその後、信号の再観測と、いて座にあると見られた発生源の正確な位置の割出しを試みたが失敗。地球からの信号が宇宙ゴミで反射しただけだとの見解を出した研究者も出た。
一部の研究者は、アクティブSETIを単に無駄な試みだと考えており、ホーキング博士をはじめとする研究者は、地球外生命体が人類にとって友好的だとは限らないため、そのコンタクトは人類にとっての大きな脅威になりうると警鐘を鳴らしている。
しかし、批判に関わらずヴァコッホ氏らは信号を送った。「Space.com」によると、最近、研究者や一連の音楽家に芸術家が「GJ 273b」に住んでいる可能性がある生命体に向けて信号を用意し、今年10月末にノルウェー・トロムソにあるEISCATレーダーを用いて宇宙に送信した。
ヴァコッホ氏は、「GJ 273b」に強力な信号を送ることが「惑星防衛」の観点からは全く安全だと述べる。
ヴァコッホ氏は、テレビやラジオの信号が半世紀以上地球から宇宙に漏れていることを指摘して、「GJ 273bの文明が日本に来て私たちを脅かすことができるのに、私たちの漏れ出した信号を受信できないというシナリオは想像することが非常に難しい」と述べた。
今回送った信号は、地球や太陽系の他の惑星についての情報のほかに、科学や数学の「チュートリアル」や、音楽とマルチメディアアートの祭典「ソナー・フェスティバル」のアーティストによる33個の短い音声ファイルを含んでいる。来年4月には、異なる周波数を用いて「GJ 273b」の方角に「拡張版チュートリアル」を送る予定だ。