日本、国産巡航ミサイル開発に意欲

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日本の防衛省は、陸上の敵部隊や敵艦を標的とした日本の巡航ミサイルを開発する方向で検討している。読売新聞が報じた。

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2018年度の防衛省の概算要求において、島しょ防衛用新対艦誘導弾の要素技術の研究に77億円が計上されている。

読売新聞によると、米国の「トマホーク」と共通するところが多いため、防衛省では「日本版トマホーク」と呼んでいる。特色は、巡航ミサイルは海上だけでなく地上の標的にも攻撃可能で、発射車両や護衛艦、川崎重工の手がけた哨戒機「P1」など機体からも発射可能であることだ。

読売新聞の記事が詳細でなくても、いくつかの結論は出すことができる。

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第1に、計上された予算は新型対艦ミサイルの開発ではなく、求められる性能まで現行のミサイルを改良するためのものだ。新型巡航ミサイルの開発なら、格段に多くの費用がかかるだろう。例えば、フランスは1998年度、新型巡航ミサイル「SCALP-EG」(ストーム・シャドウ)のために7億4500万ドルを費やした。ロシアとインドによる対艦ミサイル「ブラモス」の共同開発には2001年度、非公式の情報によると2億4000万ドルかかった。

日本はすでに、非常に迅速に改良できるであろう、将来性のある対艦ミサイルを数種類持っている。その1つには、三菱重工が手がけ、1988年から陸上自衛隊に配備されている地対艦ミサイル「88式地対艦誘導弾」(SSM-1)がある。艦対艦ミサイル「90式艦対艦誘導弾」(SSM-1B)は1990年から配備。2012年にはSSM-1の後継として12式地対艦誘導弾の調達が始まった。12式地対艦誘導弾の射程は250キロまで伸び(SSM-1は150キロ)、最高速度はマッハ3(およそ時速3672キロ)そして最大250キロまでの弾頭を搭載可能だ。ミサイルは複数の誘導システムを搭載し、弾道を修正できる上、低い高度を飛行する。

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12式地対艦誘導弾は艦体だけでなく、地上の標的にも有効な完全な巡航ミサイルにできるまで改良が十分可能だ。こうしたミサイルによる空軍基地や連絡基地、司令部への攻撃は敵へ大打撃を与えると言える。飛行機からのこうした巡航ミサイルの発射は、エアボーンや地上部隊のサポートが可能だろう。

どうやら、改良されるのは12式地対艦誘導弾のようだ。2017年1月、横須賀基地で12式地対艦誘導弾と似たサイズの2発のミサイル用の新しい発射装置を搭載した海上自衛隊の試験艦「あすか」が目撃された。ミサイルは国際展示場「MAST Asia 2017」 (Maritime Air Systems & Technologies)で展示された。また、ウェブリソース「navyrecognition」が英Qinetiq社の代表の話を基に報じたところ、日本の防衛省は将来性のある艦対艦ミサイル「XSSM」の実験を行った。実験の実施日は不明だが、XSSMの試作型が「あすか」から、Qinetiq社のカナダ支社が作った標的用高速ボート「Barracuda」に向けて発射された。

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第2に、最近の訪日でトランプ大統領は、日本がより多くの米国の兵器を買うよう迫った。しかし、日本の観点からは国内の企業で生産するほうが目的にかなっている。それに加えて、日本版トマホークという名称に関わらず、日本製の巡航ミサイルの性能は米国製を超える可能性がある。米国のRGM-109D Block IIIは340キロの弾頭を搭載可能で、射程は1250キロだ。

だが、速度は低く、最大で0.5マッハから0.7マッハ(時速880キロ)。そのため、重機関銃を含むどんな対空砲でも撃墜可能だ。日本のミサイルの飛距離はおよそ300キロだが、速度は非常に速い。わずか4分半で標的まで到着するのだ。一方で米国のミサイルは同じ300キロ到達に20分を要する。これほど短い時間ではいかなる防空システムやミサイル防衛(MD)システムでも撃退が困難で、高速で飛行するため敵による撃墜の可能性を大幅に減らす。

読売新聞の記事にある通り、巡航ミサイルの開発の主な目的は島しょ防衛にあるとは言え、北朝鮮への抑止力を高めることにもつながるだろう。

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