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2018年度の防衛省の概算要求において、島しょ防衛用新対艦誘導弾の要素技術の研究に77億円が計上されている。
読売新聞によると、米国の「トマホーク」と共通するところが多いため、防衛省では「日本版トマホーク」と呼んでいる。特色は、巡航ミサイルは海上だけでなく地上の標的にも攻撃可能で、発射車両や護衛艦、川崎重工の手がけた哨戒機「P1」など機体からも発射可能であることだ。
読売新聞の記事が詳細でなくても、いくつかの結論は出すことができる。
日本はすでに、非常に迅速に改良できるであろう、将来性のある対艦ミサイルを数種類持っている。その1つには、三菱重工が手がけ、1988年から陸上自衛隊に配備されている地対艦ミサイル「88式地対艦誘導弾」(SSM-1)がある。艦対艦ミサイル「90式艦対艦誘導弾」(SSM-1B)は1990年から配備。2012年にはSSM-1の後継として12式地対艦誘導弾の調達が始まった。12式地対艦誘導弾の射程は250キロまで伸び(SSM-1は150キロ)、最高速度はマッハ3(およそ時速3672キロ)そして最大250キロまでの弾頭を搭載可能だ。ミサイルは複数の誘導システムを搭載し、弾道を修正できる上、低い高度を飛行する。
どうやら、改良されるのは12式地対艦誘導弾のようだ。2017年1月、横須賀基地で12式地対艦誘導弾と似たサイズの2発のミサイル用の新しい発射装置を搭載した海上自衛隊の試験艦「あすか」が目撃された。ミサイルは国際展示場「MAST Asia 2017」 (Maritime Air Systems & Technologies)で展示された。また、ウェブリソース「navyrecognition」が英Qinetiq社の代表の話を基に報じたところ、日本の防衛省は将来性のある艦対艦ミサイル「XSSM」の実験を行った。実験の実施日は不明だが、XSSMの試作型が「あすか」から、Qinetiq社のカナダ支社が作った標的用高速ボート「Barracuda」に向けて発射された。
だが、速度は低く、最大で0.5マッハから0.7マッハ(時速880キロ)。そのため、重機関銃を含むどんな対空砲でも撃墜可能だ。日本のミサイルの飛距離はおよそ300キロだが、速度は非常に速い。わずか4分半で標的まで到着するのだ。一方で米国のミサイルは同じ300キロ到達に20分を要する。これほど短い時間ではいかなる防空システムやミサイル防衛(MD)システムでも撃退が困難で、高速で飛行するため敵による撃墜の可能性を大幅に減らす。
読売新聞の記事にある通り、巡航ミサイルの開発の主な目的は島しょ防衛にあるとは言え、北朝鮮への抑止力を高めることにもつながるだろう。