「日本の若い世代でも知的にすぐれた層はみなドストエフスキーを知っています」:東京でロシアの偉大な作家の記念日に向けた準備が進む

© Flickr / mrhayata「日本の若い世代でも知的にすぐれた層はみなドストエフスキーを知っています」:東京でロシアの偉大な作家の記念日に向けた準備が進む
「日本の若い世代でも知的にすぐれた層はみなドストエフスキーを知っています」:東京でロシアの偉大な作家の記念日に向けた準備が進む - Sputnik 日本
サイン
2021年は最も著名なロシア人作家の一人、フョードル・ドストエフスキーの生誕200周年である。生誕200周年を祝うイベントは、間違いなく多くの国で開催される。なぜなら、21世紀に入った今も、ドストエフスキーは世界で最も読まれている作家の1人であり続けているからだ。ところが、ここで日本が先陣を切った。

スプートニク日本

2019年2月16日、東京大学のメインキャンパスで国際市場ワークショップ&講演「表象文化としてのドストエフスキー」が開催される。このイベントは、日本のドストエフスキー作品の研究者と愛好家を束ねる日本ドストエフスキー協会の発案によるものだ。

協会は2016年4月に設立され、会長は名古屋外国語大学学長で東京外国語大学名誉教授、著名な翻訳家で文学研究者の亀山郁夫さんである。

ドストエフスキーの肖像、ロシア人画家イリヤ・グラズノフ作の複製 - Sputnik 日本
ロシアの預言者、11月11日はドストエフスキーの生誕日(写真)
日本ドストエフスキー協会のサイトには、ワークショップ&講演のテーマについて次のように書かれている。「ドストエフスキーの作品が、音楽、映画、美術、演劇、彫刻その他のジャンルにおいていかに表象されたか。戦後まもない時期に、日本映画の偉大な先達である黒澤明が、戦後間もない時期の札幌を舞台に『白痴』の映画化を行ったことは知られる通りですが、今回のワークショップでは、黒澤はもとより、世界のアーティストがいかにドストエフスキーを愛し、みずからの領域においてその表象化に粉骨砕身したかを語ります。」

このイベントがドストエフスキー生誕200周年の関連行事であることを、亀山郁夫さんご本人がスプートニクに語ってくれた。

© Sputnik / Vladimir Fedorenko / メディアバンクへ移行亀山郁夫さん
亀山郁夫さん - Sputnik 日本
亀山郁夫さん

スプートニク: 今回のワークショップ&講演はドストエフスキーの生誕200年の記念に向けたイベントの一つですか。その他のイベントは予定されていますか。

亀山郁夫さん:はい、その意味も大きいです。文部科学省の研究支援を受けて開かれるイベントです。大きなイベントは、毎年開かれており、昨年は、名古屋外国語大学と東京大学で同時に2つの国際シンポジウムを開催しました。昨年のゲストは、デボラ・マルティンセンさんでした。来年は、リュドミラ・サラスキナさんの招聘を予定しています。また、名古屋外国語大学では、定期的にドストエフスキーセミナーが開かれています。

スプートニク:ドストエフスキーの一番よく読まれている本は何ですか。まだ日本語に訳されていない作品はありますか。

亀山郁夫さん:『罪と罰』と『カラマーゾフの兄弟』です。日本語に訳されていない小説はありません。

スプートニク:現在日本ではドストエフスキーの作品に対する関心はありますか。若い世代もこの作家を知っていますか。

ドストエフスキーのバレエ『白痴』 - Sputnik 日本
深夜のモスクワ地下鉄でドストエフスキーのバレエ『白痴』が公演【写真】
亀山郁夫さん:日本においてドストエフスキーに対する関心はきわめて高いと思います。若い世代でも知的にすぐれた層はみな知っています。日本を代表する現代作家でドストエフスキーに影響を受けなかった作家は皆無といってよいでしょう。大江健三郎、村上春樹、辻原登から、若手では、平野啓一郎、中村文則がその代表格です。私は、2017年に、「新カラマーゾフの兄弟」という長編小説を発表しました。これは、1995年の日本を舞台にした日本版の「カラマーゾフの兄弟」です。

スプートニク:ドストエフスキーは21世紀にアクチュアルな作家だと思われていますか。

亀山郁夫さん: きわめてアクチュアルであり、なおかつ予言的です。グローバル時代における人間と社会の問題を深く見通していたと感じます。

© Sputnik / RIA Novosti / メディアバンクへ移行フョードル・ドストエフスキー
フョードル・ドストエフスキー - Sputnik 日本
フョードル・ドストエフスキー

日本でのドストエフスキーの人気は高い。その人気は長編小説『罪と罰』が文学者の内田魯庵によって初めて英語から翻訳された1892年に端を発する。最近のドストエフスキーブームは、長編小説『カラマーゾフの兄弟』の8本目の翻訳となる亀山郁夫さんの翻訳が巻き起こしたものだ。翻訳不可能にも思える言語学的苦難を見事に乗り越え、亀山さんは21世紀の日本の読者にとって、ドストエフスキーの世界の案内役となった。2008年にこの作品が現代日本で最も売れた海外長編小説となり、数百万部の大ヒットとなったのも驚きではない。

ニュース一覧
0
コメント投稿には、
ログインまたは新規登録が必要です
loader
チャットで返信
Заголовок открываемого материала