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2019年2月16日、東京大学のメインキャンパスで国際市場ワークショップ&講演「表象文化としてのドストエフスキー」が開催される。このイベントは、日本のドストエフスキー作品の研究者と愛好家を束ねる日本ドストエフスキー協会の発案によるものだ。
協会は2016年4月に設立され、会長は名古屋外国語大学学長で東京外国語大学名誉教授、著名な翻訳家で文学研究者の亀山郁夫さんである。
このイベントがドストエフスキー生誕200周年の関連行事であることを、亀山郁夫さんご本人がスプートニクに語ってくれた。
スプートニク: 今回のワークショップ&講演はドストエフスキーの生誕200年の記念に向けたイベントの一つですか。その他のイベントは予定されていますか。
亀山郁夫さん:はい、その意味も大きいです。文部科学省の研究支援を受けて開かれるイベントです。大きなイベントは、毎年開かれており、昨年は、名古屋外国語大学と東京大学で同時に2つの国際シンポジウムを開催しました。昨年のゲストは、デボラ・マルティンセンさんでした。来年は、リュドミラ・サラスキナさんの招聘を予定しています。また、名古屋外国語大学では、定期的にドストエフスキーセミナーが開かれています。
スプートニク:ドストエフスキーの一番よく読まれている本は何ですか。まだ日本語に訳されていない作品はありますか。
亀山郁夫さん:『罪と罰』と『カラマーゾフの兄弟』です。日本語に訳されていない小説はありません。
スプートニク:現在日本ではドストエフスキーの作品に対する関心はありますか。若い世代もこの作家を知っていますか。
スプートニク:ドストエフスキーは21世紀にアクチュアルな作家だと思われていますか。
亀山郁夫さん: きわめてアクチュアルであり、なおかつ予言的です。グローバル時代における人間と社会の問題を深く見通していたと感じます。
日本でのドストエフスキーの人気は高い。その人気は長編小説『罪と罰』が文学者の内田魯庵によって初めて英語から翻訳された1892年に端を発する。最近のドストエフスキーブームは、長編小説『カラマーゾフの兄弟』の8本目の翻訳となる亀山郁夫さんの翻訳が巻き起こしたものだ。翻訳不可能にも思える言語学的苦難を見事に乗り越え、亀山さんは21世紀の日本の読者にとって、ドストエフスキーの世界の案内役となった。2008年にこの作品が現代日本で最も売れた海外長編小説となり、数百万部の大ヒットとなったのも驚きではない。