学者が広島で原爆の地質学的痕跡を発見 この発見の意義とは?

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ヨーロッパとアメリカの学者らが、地球と巨な小惑星の衝突という、ありそうもないが、それでいてもっともらしいシナリオをシミュレートしようとした。実験の結果、衝突による衝撃は広島に落とされた原爆のエネルギーの1000倍の威力を持つことが分かった。

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一方、最近、地質学者は広島の砂浜で複数の新たな鉱物を発見した。これは1945年8月の原爆の爆発直後に誕生したものである。それら鉱物を研究した結果、学者らはそれが恐竜を絶滅させた小惑星落下の影響と構造的に非常に類似していることを発見した。スプートニクは、この発見の学術的意義を理解するため、化学者でアカデミー会員のユーリー・ゾロトフ氏に話を聞いた。

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学者らによると、広島の沿岸で最近発見されたもには単純な科学的根拠があるという。

「原爆の爆発によって非常に高温の領域が生じる。建材やガラスを含むすべての物質が蒸発する領域である。物質があった場所には蒸気が生まれる。それが爆発後に冷却され、凝縮する。例えば、霧になるのだ。あるいは(気相になったさまざまな物質でできた)細かい溶融ガラス状の粒子になる。その後、当然、こうした細かい粒子は地表に降下し、土壌に層を形成するか、個別の細礫となる。まさにこのようにして、これらの物質は広島の砂浜に出現したのである。」

つまり、これらの発見に学術的なセンセーションはない。それでも、学者たちがこれに注目しているのには根拠がある。なぜなら小惑星の落下と原爆の爆発の結果は等しく破滅的だからだ。ユーリー・ゾロトフ氏は言う。「恐竜と21世紀の現代社会になんの共通点があるのかと思うかもしれない。なにしろ巨大な隕石が落ちたのは6500万年も前のことなのだ。そのとき、隕石落下よって地球全体を覆うように塵の雲形成され、太陽の光さえも透過できなくなってしまった。すべての植物、そして恐竜が死滅した。

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その後、地球全体を覆っていた雲は降下し、地表に一定の層を形成した。私たち分析化学者はかつてこれを研究し、この層に白金族金属の含有量が多いことを証明した。これは塵が宇宙起源であることの確かなサインである。つまり、小惑星が落下したとき、空中に舞い上がったのは地球表面の塵だけでなく、落下した小惑星の一部も舞い上がったのだ。それらがすべて蒸気に変わり、地面に降下した。原爆投下でも同じようなのプロセスが発生する。」

広島の砂浜で見つかった恐ろしい悲劇の痕跡は、1945年に人類が地球規模の大惨事を免れたのは、あくまで規模の違いによるものであることを警告している。ユーリー・ゾロトフ氏は、次のように述べている。「もし広島に投下された爆弾の威力が1000倍強かったならば、6500万年前に地球全体を覆ったのと同じような層ができていただろう。そうなっていれば、学者のニコライ・モイセエフの立てた理論によると、地球上には「核の冬」が訪れていたはずだ。そうなれば、人間が生き残れるチャンスは一切なかっただろう。」

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つまり、人類は広島と長崎において、小惑星落下後に恐竜が絶滅した大惨事を規模を縮小した形で体験したのである。現在、学者たちが地球を脅かす宇宙の力、すなわち小惑星を、核爆弾の助けを借りてやっつけようと真剣に考えていることは逆説的だ。このプロジェクトはHAMMERと命名されている。

しかし、はたして私たちの惑星はこのような対立に耐えられるのだろうか? 地球の美しさが損なわれることなく、宇宙や核の災害に見舞われないことを願ってやまない。

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