7月7日、ウラジオストクのギャラリー「アールカ」では、ビデオアートプロジェクト「836」がスタートした。日本海の対岸に位置するウラジオストクと新潟の市民らが、それぞれの都市から、遠くにいる相手に顔を向け、人生についての考えを語り、成功や失敗、夢や希望を話しかける。
この独白ビデオはコミュニケーションアートプロジェクトなどを手がける美術家の蓮輪康人氏が発案、デザインしたもので、2020年11月に録画された。プロジェクトについては、蓮輪氏自らウラジオストクを訪れ、プレゼンテーションを行なった。「スプートニク」からのインタビューに答えた蓮輪氏は、この「プロジェク836」のアイデアがどのようにして生まれたのか、またプロジェクトはどのような意味を持つものなのか語ってくれた。
スプートニク: プロジェクト836がどのようにして生まれたのか教えてください。
スプートニク: プロジェクトの内容について教えてください。
蓮輪氏 「836では、見えない(いることが実感できない)相手に対し、パーソナルな姿でプライベートな話をしています。それは、一見矛盾したコミュニケーションに思えますが、実は現代において、1番大事なこと(悩みや喜び)は面と向かって誰かに話さず、お風呂あがりに、パンツ1枚でSNSに投稿していることも多いのではないでしょうか? このプロジェクトは、「人と人の距離」つまり、肖像やコミュニケーションのリアリティーをテーマにした実験です。また、その話の内容は、文化の異なる対岸同士でどのようなものになるか。ちょっとした日常の話(恋や仕事、勉強の悩みなど)は、どれだけ文化が違えど(今回は違いますが、たとえば争っている国でも)同じだと証明するためのドキュメンタリーでもあります。ですので、このプロジェクトは、今後さまざまな対岸の都市間で行ってまいります」。
スプートニク: プロジェクトの動画に参加している人たちは、非常に率直にお話しされていますが、参加された人たちは、その独白に対してなんらかの反応を期待していると思いますか?
蓮輪氏 「(参加しているのは)一般のふつうの市民の皆さまです。話に対する相手の反応を待っているという印象はなく、相手に話しているような、自分に話しているような、普段なかなか言えない想いを語っていただいたように思っています。(こういうことを話してくださいとは一切いってなく、ぼくも撮影して、映像をみて初めて知ります。)ただ、展示ではじめて相手がいたことを実感するようで、そして不思議とどこか会話しているような内容になっていくので、やっぱり「顔」を見てみたい、振り向いてほしい、という感想が多かったです。時間差でコミュニケーションが始まっているように思えました」。
スプートニク: ウラジオストクに行かれたことはありますか?
スプートニク: ロシア人と日本人の友好関係についてどのように感じられていますか?
蓮輪氏 「もったいない」と思います。正直このプロジェクトを始めるまで、そこまで詳しくありませんでしたがいろいろな人とかかわっていると、本当に親切で、フランクで、ぼくは大好きです。そして、飛行機にのると、その近さに改めて驚きました。もっともっと、文化レベル・市民レベルでの交流が盛んになれば良いなと思います。
現在、新潟空港でも同時に836を展示しており、11日には生中継のワークショップも開催した。ギャラリー「アールカ」と、新潟市の協力の下で行われた。