太平洋上での新たな演習は戦争への新たな一歩か?

RIMPAC-2022 - Sputnik 日本, 1920, 05.07.2022
太平洋上で、米海軍主催の多国間海上訓練「環太平洋合同演習(リムパック)」が始まった。25カ国が参加する。共同通信が伝えた。これに対し、北朝鮮外務省は、米国は欧州を軍事化しようとしているだけでなく、アジア太平洋地域にNATOのような軍事同盟を創設しようとしているとして、これを非難した。「スプートニク」は、アジアでこうしたシナリオが展開される可能性がどれだけ高いのか、取材した。
軍事専門家で、露防空部隊博物館の館長を務めるユーリー・クヌトフ氏は、「アジア版NATO」が出現する可能性について、現時点で、これまででもっとも高まっていると指摘し、次のように述べている。
「理由は明白です。米国は台湾をめぐる中国と本格的な紛争に備えているのです。まず何よりもその戦略的位置という観点からです。台湾は中国の艦隊を自由に太平洋に出ることを可能にします。一方で、艦隊が日本の2つの島の間を通過するとき、事実上、その艦隊はミサイル攻撃にさらされる可能性があります。したがって、台湾は米国とNATOにとって、中国との軍事紛争が起きた場合の第一の防衛線においても、また中国の艦船や貿易船を遮断するためにも、きわめて重要な部分なのです。しかし、世界情勢的に見れば、台湾は軍事対立をエスカレーションさせるための口実でしかありません。その主要な理由は、地域の覇権をめぐる米国と中国の対立にあります。中国は米国の強力な競争相手になり、NATOはまだ敵とは見なしていませんが、脅威はあると捉えています。ですから、NATOは今、アジア太平洋地域を自らの影響範囲であると位置づけ、北大西洋の軍事同盟を世界的な機構に変えようとしています。その動きは、(米国のインド太平洋戦略の枠内での)クアッドやオーカスの創設によって始まったわけですが、これらの枠組みは少しずつ中国とロシアに『圧力をかける手段』になりつつあります」。
中国海軍 - Sputnik 日本, 1920, 04.07.2022
中国対抗の「グローバルNATO」東方面はもつのか?
クアッドに加盟しているインドは、現時点では中立を保とうとしているものの、米国の武器を購入するなど、次第に米国に譲歩するようになっているとクヌトフ氏は指摘する。
さらに、最近行われたバイデン米大統領のアジア歴訪では、クアッド(日米豪印)の首脳らが海洋状況把握のための海洋監視協力システムを創設することで合意した。これは、3つの海域にリアルタイムで海上の動きを監視することを可能にするものである。これはまさに、現在4隻目の空母の建造を進める中国の艦隊の動きと直接、関係するものである。そこで、米国は、中国に対抗するために、アジアにNATOを創設することに大きな関心を持っている。しかし、クヌトフ氏は、これは、中国とロシアの接近、その同盟関係の強化を招くものだとの懸念が生まれていると指摘する。
そこで、米国はこれを露骨に行わなず、クアッドやオーカスのような別の枠組みの創設という形でカムフラージュし、必要になったときに、アジアでの新たな軍事同盟に形を変えられるようにしているのである。
もう一つ、アジアで同じような枠組みとなったのが、2022年6月に、米国、日本、豪州、英国、ニュージーランドが加盟し創設された「ブルーパシフィックにおけるパートナー(Partners in the Blue Pacific)」である。これがスペインで開催されたNATOサミットと並行して発表されたのは偶然ではない。
G7サミット - Sputnik 日本, 1920, 29.06.2022
日本はNATOとの協力により、よりよい状況になるのか?
これに関連し、中国共産党機関紙「環球時報」の王広涛(ワン・グアンタオ)評論員は、この新たな枠組みはアジアで新たな同盟を創設しようとするNATOの明確な意向を反映したものだと見ている。
「NATOは自らの影響力を大西洋からアジア太平洋などの他の地域に拡大しようとしています。ですから、パートナー国を呼び込み、その地域で別の『ギャング』の設立を促すことが不可欠なのです」。
一方、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は、NATOとEU(欧州連合)はロシアとの戦闘のための連合国を集めていると述べている。
またこれについてユーリー・クヌトフ氏は、そしてこうした方向での行動は、アジア太平洋地域を含む全世界にとって、ますます危険なものになっているとの見方を示している。
「たとえば、オーカスには米国と英国という核大国が2つも加盟しており、これがこの枠組みを非常に危険なものにしています。しかも、米国は豪州との間で、原子力潜水艦の建造に関する大型の合意を結びました。これは豪州にも核施設が作られるという可能性を持つものです」。
というのも、原子力潜水艦の燃料という形で手に渡る核物質には兵器利用が可能な高濃縮ウランが含まれている可能性があるからである。
これについて、IAEA(国際原子力機関)のラファエル・グロッシー事務局長は、しかも、この原子力技術の供与に関する(オーカスのパートナーシップの枠内の)合意が前例となり、他の国々が同様の独自のプロジェクトを実現するためにそれを利用するきっかけを与えるものになる可能性があるとの考えを示している。
中米国旗 - Sputnik 日本, 1920, 27.06.2022
G7サミットとNATO 中国もロシアと同様に狙われるのか?
一方、軍事専門家のコンスタンチン・シヴコフ氏は、環太平洋合同演習(RIMPAC)は「アジア版NATO」創設をはっきりと保証するものではないと指摘した上で、
しかし、こうした演習や新たな同盟は中国やロシアに対抗する地政学的戦略に明確に合致するものであることは間違いないと述べている。
「最初の編成は日本、韓国で、そこにインドが積極的に引き込まれようとしています。2つ目の編成はオーカスです。米国は中国をコントロールし、抑制するのを助けてくれる他の国々を引き入れようとするでしょう。しかし、アジアで中国に対抗するための『核』は事実上すでに作られています。これに対抗して、ロシアと中国は、地域で、上空および海上で戦略的演習を行っています。しかし、もしアジア太平洋地域(およびロシアの西の国境)における情勢の激化が今後も同じ速度で進めば、より大規模な紛争―つまり第三次世界大戦の初期段階―に発展していくという危険な傾向が出てくるでしょう」。
北朝鮮政府は、「米国とその衛星国の無謀な軍事行動により、すでに、欧州とアジア太平洋地域で同時に核戦争が勃発するような危険な状況となっている」との考えを明らかにしている。
中国海軍 - Sputnik 日本, 1920, 24.06.2022
「今日の香港、明日の台湾、そして明後日の沖縄」の危惧感 正当性はどこまで?
一方、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)のデータとして、「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」が伝えるところによれば、北朝鮮が現在、保有している核弾頭は20基以下となっている。しかし、北朝鮮が情報を公開せず、予測不可能な行動をとる国であることを考えれば、何らかの挑発行為や1発の核弾頭も、核戦争の勃発には十分なものである。
これに関連し、日本のJBプレスの評論員は、米国自身、核兵器の分野ではロシアに劣っており、日本のために戦ってくれることはないと指摘するとともに、
日本は独自の「核の傘」を作る必要があるとの考えを示している。このような日本の分析も、世界の地政学的情勢が緊張化しており、もっとも残酷でもっとも予測不能なシナリオで展開していくことを暗示した非常に危険なシグナルである。もし米国が今後も新たなアジアで反中国同盟を創設し続け、欧州に対して、ウクライナへの新たな武器供与を促し続ければ、そうした展開も大いにありえるだろう。
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