【視点】「北朝鮮はミサイル搭載核兵器小型化弾頭化すでに実現」とはどういう意味? 日本人専門家に聞く

© AFP 2023 / Jung Yeon-Je核実験
核実験 - Sputnik 日本, 1920, 03.11.2022
サイン
浜田防衛大臣は先日、北朝鮮が日本を「射程に収める弾道ミサイルに核兵器を搭載して攻撃するために必要な核兵器の小型化、弾頭化などをすでに実現しているものと見られる」と主張した。これが何を示し、日本にとってはどういった脅威を意味するのかについて、 スプートニクは政治学者で国際関係論・北東アジアの安全保障・朝鮮半島の政治外交を専門とする伊豆見元氏に見解を伺った。
北朝鮮のミサイルについての浜田防衛大臣 の声明は北朝鮮のミサイル発射が頻繁化することを受けて表された。伊豆見元氏はこの声明には基本的には今まで予想されていなかったような、何ら新しいことは表されていないものの、日本政府は今回初めてこの事実を公にすることを決意したと指摘している。

「まず問題は日本をすべて射程の中に収める弾道ミサイル『ノドン』の存在です。この『ノドン』ミサイルがどれだけあるのか分かりませんが、米国は最小でも三桁、100発以上はあるだろうとみており、200とか300という数字を出してきたこともあります。北朝鮮の初めての核実験は2006年10月でしたが、その時点で日本を射程に収める弾道ミサイル『ノドン』は100発以上あったとされています。核実験を3回繰り返すと、弾頭の小型化、軽量化ができると言われており、3回の実験が終わったのが2012年末で、少なくともその段階で日本を射程に収める中距離弾道ミサイルであれば積載が可能なところまで、弾頭の小型化は終了したとみんな思っていたわけです。ICBM(大陸間弾道弾)はさらに小型化、軽量化が必要ですが、それでも2017年までに6回核実験を行いましたから、それも完了しているでしょう。ただしICBMの場合は大気圏外にでて、再度大気圏に再突入するわけで、その時点でものすごい高温になるわけですから、その熱に耐えられないと核弾頭が核兵器として機能しなくなってしまう。北朝鮮は再突入の技術をまだ確立していないので、ICBMはまだ完成していないと考えるのが一般的です。しかしIRBM(中距離弾道ミサイル)に関しては問題はないので、日本を標的にする核ミサイルはもうすでに完成していると考えられます。浜田防衛大臣は今回それを初めて認めたということだと思います。専門家の間では周知のことではあっても、国民に対しては明確にしてこなかった。明確にすると、『北朝鮮は怖い』と思われるでしょうからね」

最近、北朝鮮から発射されたミサイルは日本にとってどれほどの憂慮を呼ぶものなのか、伊豆見氏に見解を伺った。

「北朝鮮の核ミサイル能力が相当向上しているということだと思います。弾道ミサイルは北海道から沖縄まで日本のどこに対しても攻撃でき、しかもそれが核ミサイルであって、核攻撃ができることは100%確実です。一番いいのは核ミサイルを放棄させることですが、我々はすでに、中国が明確に日本に照準を合わせた核ミサイルの元で暮らしている。私たちは中国がすぐにでも日本に核攻撃を仕掛けることはないだろうと思っているわけですね。ところが、日本は、北朝鮮については何をするか分からないと懸念している。北朝鮮の姿勢が少なくとも中国と同じ程度に現実的なものに変わることが今必要です。最終的には日本を攻撃できる核兵器を放棄してくれることが一番望ましい。だが、すぐにはできないため、保有していても、その核ミサイルを簡単に日本に対して使うことはないというところまで、北朝鮮も最低限、中国並みにしなければならない。そうでないと不安でしかたがないという状態になるでしょう」

北朝鮮の核攻撃の懸念について、日本の防衛能力について、スプートニクがご紹介したロシア人専門家の見解はこちらからお読みいただけます。
関連記事
朝鮮半島の緊張エスカレーション: 北朝鮮の発射について今わかっていること
米韓合同軍事演習は「北朝鮮に対する米国の核戦争シナリオが最後段階に入ったことを如実に示している」=北朝鮮
ニュース一覧
0
コメント投稿には、
ログインまたは新規登録が必要です
loader
チャットで返信
Заголовок открываемого материала