遺伝か生活習慣か 子どもが近視になる原因とは?
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近視は、20世紀後半から世界中で急速に広まった。2000年には14億人(世界人口の22.9%)が近視を発症し、2050年には世界人口の半分、つまり50億人が近視になるといわれている。学術誌「眼科学」によると、近視は特に子どもたちの間で急速に進んでいるという。
現在、欧米諸国では約30%、日本や韓国などの東アジアの国々では約80%の人が近視だといわれている。東アジアの大都市では、その割合はさらに高くなり、約9割に達する。一方で、ロシアでは3〜4人に1人が近視に悩まされているという。近視の増加の正確な原因はまだわかっていないが、近視の「流行」を止めるには、子どもの幼少期から視力に注意を配り、視力矯正を始めるしかないと医師は考えている。
近視になる2大原因
眼科医は、子どもの近視の主な原因は遺伝と生活習慣にあると結論づけている。世界のさまざまな地域の学童を対象とした研究によると、子どもは親から近視を「受け継ぐ」ことが多いことが明らかになっている。すでに研究者らは、近視と関係があるゲノムの領域を特定している。また、家族に近視の大人が多い場合、子供が近視になる確率は99%であることもわかっている。一方で、家族のうち一人が近視の場合、この確率は50%と大幅に減少する。そして、両親の視力が良く、3、4親等の誰かがメガネをかけていた場合、この確率はさらに低くなる。
しかし、近視を遺伝というファクターだけで説明することはできない。例えば、エスキモーの間では長い間近視は知られていなかったが、彼らが20世紀半ば以降、ヨーロッパの生活様式を積極的に取り入れ、読書や、あらゆる種類のガジェットを使い、室内で過ごす時間が増えていくと、第二世代では近視が確認され始めたという。
近視を防ぐ対策は?
眼科医は、その原因に遺伝があることについては反論できないとしても、若い世代に対して近視になるのを防ぐための正しいライフスタイルについて、かなり具体的なアドバイスをしている。
1.
日中のウォーキング子どもが近視になる主な原因の一つに、日照不足がある。屋外で自然光を浴びる時間が長ければ長いほど、子どもの視力を維持できる可能性が高まる。しかし、ここで重要なのは一貫性。日々の散歩不足を週末にまとめて補うことはできないので、毎日、最低でも1時間は散歩をした方がいいという。また、学校では、生徒の目の前にある机の表面は、できるだけ太陽光に近い光源で、均一に照らされるようにする必要があると、眼科医はアドバイスしている。
2.
目を休ませる子どもたちの近視は、学校での学習や家庭でのガジェットの使用が増えたことや、身体を使う活動が減少したことと関係があるという調査結果があるという。しかし、眼科医は、学校教育やガジェットの問題ではなく、目へのストレスの配分を間違えていることが原因だと指摘している。休憩時にはガジェットに目を近づけず、窓から遠くのものを眺めるなど、目の疲労を軽減するような目の運動をした方がいいという。また、大人たちは子どもたちに対し、テキストから目を33センチ以上離すことで、近視の進行を食い止めることができると説明する必要がある。パソコンの前であれば、目を画面から50~60センチ離した方がいい。そして、テレビは2メートル以上離れて見ること。また、眼科医によると、血流をよくする運動は目に栄養が行き渡りやすくなり、近視の進行を遅らせることができるという。
世界中で学童の近視が増加
近視に悩む子どもが増え続けている今、眼科医のアドバイスを無視するわけにはいかない。日本では2020年度、視力1.0未満の小学生の割合は前年度より3%増の37.5%、中学生では0.8%増の58.3%となった。ロシアでは現在、小学校で2.5%、中学校で19.7%の生徒が近視になっており、高校3年生時には平均で36.6%の生徒が近視になっていると推定されている。
スプートニクは以前、スウェーデンの研究者らが視力の回復が実現可能な角膜インプランを開発したニュースについて報じた。
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