https://sputniknews.jp/20221130/14006526.html
ウクライナへの兵器供給で台湾には米国製の兵器がない どうしてこうなったのか?
ウクライナへの兵器供給で台湾には米国製の兵器がない どうしてこうなったのか?
Sputnik 日本
... 2022年11月30日, Sputnik 日本
2022-11-30T07:30+0900
2022-11-30T07:30+0900
2022-11-30T07:30+0900
台湾
米国
中国
政治
ウクライナ
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/495/13/4951388_0:0:3124:1757_1920x0_80_0_0_be98f1863e045b34576ed979b45e545d.jpg
米政権は台湾を「中国の侵略」から「保護」すると高らかに宣言し、中国政府が早ければ2023年にも台湾を「侵略」する準備を行なっていると米政権が主張しているにもかかわらず、米国の軍需企業は、先進的な米軍装備で台湾を反中国の前線基地とすることを支援するという約束の履行に大きく遅れている。米国メディアは27日、米国の台湾政府への兵器供給の遅延が2021年だけで25%以上増加し、この1年で50億ドル(約6900億円)近く増加したと報じた。そして、米国の軍需企業は実現に何年もかかるような注文を取り続けている。2015年末に発注された対戦車ミサイル「ジャベリン」と携帯防空ミサイルシステム「スティンガー」の400基超は、7年経った今も納入されていないという。軍事に勝るビジネスなし1970年代末以降、米国は数百億ドル相当の軍備を台湾に売却し、戦闘機やヘリコプターから高精度ミサイルや重砲、装甲車、迫撃砲、レーダー、対潜戦や長距離レーダー探知機、さらには軍艦に至るまで、さまざまなものを納入している。米国の軍需企業は、2000年から2016年までだけでも台湾と約320億ドル(約4兆4140億円)相当の契約を結んでいるが、現在のインフレ状況を鑑みた調整は行っていない。トランプ米大統領(当時)の4年間だけでも、受注額は183億3000万ドル(約2兆5290億円)に上った。この中には、新型戦闘機「F-16」66機、主力戦車「エイブラムス」108両、高機動ロケット砲システム(HIMARS)11基、地対地ミサイル「MGM-168 ATACMS」64基、無人攻撃機「MQ-9リーパー」4機などが含まれている。ジョー・バイデン米政権が発足して22ヶ月余りの間に、米国は台湾政府にさらに22億ドル(約3040億円)相当の兵器を売却することを約束した。その中には、自走榴弾砲「M109A6パラディン」40門、補給弾薬支援車25台、空対空ミサイル「サイドワインダー(AIM-9X)」100発、対艦ミサイル「ハープーン」60発(ミサイルの発注は9月)も含まれている。発注した兵器は台湾に届いていないバイデン大統領は、台湾海峡の緊張が高まる中、中国を刺激する行動を繰り返し、台湾政府を「守る」ための確固たる姿勢を約束しているが、台湾の当局者やメディアは、ある奇妙なことに気づいている。それは、台湾が購入した兵器の中には2つ前の米政権で購入したものもあるが、それがまだ納入されていない点だ。米国メディアの試算によると、納入されていない兵器の総額は187億ドル(約2兆5810億円)に達している。米国の兵器メーカーはこの1年、ウクライナ危機の進行を理由に、その遅れを正当化しようとしてきた。台湾国防部は5月、2021年に発注した自走榴弾砲「M109A6パラディン」の一時的な代替機を探さなければならないと発表した。軍需企業「BAEシステムズ」が台湾政府に、台湾は「2026年よりも早い時期」に「パラディン」を受け取ることはできないと伝えたためだ。ウクライナ危機がエスカレーションする以前から、米政権は台湾への兵器納入が遅れていることについて弁明を行なっていた。ロッキード・マーティン社は、台湾が2019年に80億ドル(約1兆1070億円)で購入した戦闘機「F-16」66機が、新型コロナウイルスやサプライチェーンの問題で生産遅れに直面したと説明していた。限定オファー、今が買い時!納入が予定より何年も遅れているにもかかわらず、米政権はウクライナ危機を引き合いに出して、台湾政府に「米国製の兵器を買うように」と説得を続けている。米海軍のマイケル・ギルディ作戦部長は5月、「これは、適切な兵器を持っているということではなく…それを適切に使用するために訓練を受けた人々に対して大きな教訓であり、警鐘を鳴らすものだ」と述べた。ギルディ氏は、中国が2023年に台湾を侵略する可能性があると主張している米国防総省の高官の一人。違法な売却中国政府は、米国の台湾への兵器売却は挑発的であり、米中関係の根底となる条約の下では技術的に違法であるとみている。米国務省歴史局のウェブサイトで指摘されているように、1982年8月17日付の米中共同声明では、米国が台湾への兵器売却を「徐々に減らす」ことが義務づけられている。40年以上前に発表されたこの声明では、台湾を中国の一部と認め、米政権が「台湾への長期的な兵器売却政策を求めないこと、台湾への兵器売却は量的にも質的にも米中間の国交樹立後の近年の水準を超えないこと、米国は台湾への兵器売却を徐々に減らし、一定期間をかけて恒久的解決に導く意向があること」が定められている。なぜ、米政権は40年間も一貫して北京との条約義務の履行を先延ばしにしてきたのだろうか?おそらく米政権は、中国との戦争のリスクを冒してでも、米国の兵器メーカーに何百億ドルもの利益をもたらしてくれる顧客を失いたくないだけなのだろう。
https://sputniknews.jp/20220526/11352157.html
https://sputniknews.jp/20221013/13334778.html
https://sputniknews.jp/20220921/13020588.html
https://sputniknews.jp/20220901/12719168.html
台湾
中国
ウクライナ
Sputnik 日本
feedback.jp@sputniknews.com
+74956456601
MIA „Rossiya Segodnya“
2022
スプートニク 通信
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/07e6/07/14/12088987_0:0:401:400_100x100_80_0_0_f38c1d48964e1513ad55ca260593842c.jpg
スプートニク 通信
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/07e6/07/14/12088987_0:0:401:400_100x100_80_0_0_f38c1d48964e1513ad55ca260593842c.jpg
ニュース
jp_JP
Sputnik 日本
feedback.jp@sputniknews.com
+74956456601
MIA „Rossiya Segodnya“
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/495/13/4951388_196:0:2927:2048_1920x0_80_0_0_33c4d2723c815f799eeb0a6e731abbd2.jpgSputnik 日本
feedback.jp@sputniknews.com
+74956456601
MIA „Rossiya Segodnya“
スプートニク 通信
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/07e6/07/14/12088987_0:0:401:400_100x100_80_0_0_f38c1d48964e1513ad55ca260593842c.jpg
台湾, 米国, 中国, 政治, ウクライナ
ウクライナへの兵器供給で台湾には米国製の兵器がない どうしてこうなったのか?
台湾が2015年に米国に発注した兵器が、納入されていないことが明らかになった。未納分の金額は2021年末時点で140億ドル(約1兆9340億円)だったが、現時点では187億ドル(約2兆5840億円)まで増加している。台湾政府は、台湾向けの兵器の一部がウクライナに送られたと主張している。どうしてこのような混乱が起きたのだろうか?米国は台湾にどういった種類の兵器を納入する約束したのだろうか?スプートニクがお伝えする。
米政権は台湾を「
中国の侵略」から「保護」すると高らかに宣言し、中国政府が早ければ2023年にも台湾を「侵略」する準備を行なっていると米政権が主張しているにもかかわらず、
米国の軍需企業は、先進的な米軍装備で台湾を反中国の前線基地とすることを支援するという約束の履行に大きく遅れている。
米国メディアは27日、米国の台湾政府への兵器
供給の遅延が2021年だけで25%以上増加し、この1年で50億ドル(約6900億円)近く増加したと報じた。そして、米国の軍需企業は実現に何年もかかるような注文を取り続けている。
2015年末に発注された対戦車ミサイル「ジャベリン」と携帯防空ミサイルシステム「スティンガー」の400基超は、7年経った今も納入されていないという。
1970年代末以降、米国は数百億ドル相当の
軍備を台湾に売却し、戦闘機やヘリコプターから高精度ミサイルや重砲、装甲車、迫撃砲、レーダー、対潜戦や長距離レーダー探知機、さらには軍艦に至るまで、さまざまなものを納入している。
米国の軍需企業は、2000年から2016年までだけでも台湾と約320億ドル(約4兆4140億円)相当の契約を結んでいるが、現在のインフレ状況を鑑みた調整は行っていない。トランプ米大統領(当時)の4年間だけでも、受注額は183億3000万ドル(約2兆5290億円)に上った。この中には、新型戦闘機「F-16」66機、主力戦車「エイブラムス」108両、高機動ロケット砲システム(HIMARS)11基、地対地ミサイル「MGM-168 ATACMS」64基、無人攻撃機「MQ-9リーパー」4機などが含まれている。
ジョー・バイデン米政権が発足して22ヶ月余りの間に、米国は台湾政府にさらに22億ドル(約3040億円)相当の兵器を売却することを約束した。その中には、自走榴弾砲「M109A6パラディン」40門、補給弾薬支援車25台、空対空ミサイル「サイドワインダー(AIM-9X)」100発、対艦ミサイル「ハープーン」60発(ミサイルの発注は9月)も含まれている。
バイデン大統領は、台湾海峡の緊張が高まる中、
中国を刺激する行動を繰り返し、台湾政府を「守る」ための確固たる姿勢を約束しているが、台湾の当局者やメディアは、ある奇妙なことに気づいている。それは、台湾が購入した兵器の中には2つ前の米政権で購入したものもあるが、それがまだ納入されていない点だ。
米国メディアの試算によると、納入されていない兵器の総額は187億ドル(約2兆5810億円)に達している。
米国の兵器メーカーはこの1年、ウクライナ危機の進行を理由に、その遅れを正当化しようとしてきた。台湾国防部は5月、2021年に発注した自走榴弾砲「M109A6パラディン」の一時的な代替機を探さなければならないと発表した。軍需企業「BAEシステムズ」が台湾政府に、台湾は「2026年よりも早い時期」に「パラディン」を受け取ることはできないと伝えたためだ。
ウクライナ危機がエスカレーションする以前から、米政権は台湾への兵器納入が遅れていることについて弁明を行なっていた。ロッキード・マーティン社は、台湾が2019年に80億ドル(約1兆1070億円)で購入した戦闘機「F-16」66機が、新型コロナウイルスやサプライチェーンの問題で生産遅れに直面したと説明していた。
納入が予定より何年も遅れているにもかかわらず、米政権はウクライナ危機を引き合いに出して、台湾政府に「米国製の兵器を買うように」と説得を続けている。米海軍のマイケル・ギルディ作戦部長は5月、「これは、適切な兵器を持っているということではなく…それを適切に使用するために訓練を受けた人々に対して大きな教訓であり、警鐘を鳴らすものだ」と述べた。ギルディ氏は、中国が2023年に
台湾を侵略する可能性があると主張している米国防総省の高官の一人。
中国政府は、米国の台湾への兵器売却は挑発的であり、米中関係の根底となる条約の下では技術的に違法であるとみている。米国務省歴史局のウェブサイトで指摘されているように、1982年8月17日付の米中共同声明では、米国が台湾への兵器売却を「徐々に減らす」ことが義務づけられている。
40年以上前に発表されたこの声明では、台湾を中国の一部と認め、米政権が「台湾への長期的な兵器売却政策を求めないこと、台湾への兵器売却は量的にも質的にも米中間の国交樹立後の近年の水準を超えないこと、米国は台湾への兵器売却を徐々に減らし、一定期間をかけて恒久的解決に導く意向があること」が定められている。
なぜ、米政権は40年間も一貫して北京との条約義務の履行を先延ばしにしてきたのだろうか?おそらく米政権は、中国との戦争のリスクを冒してでも、米国の兵器メーカーに何百億ドルもの利益をもたらしてくれる顧客を失いたくないだけなのだろう。