【視点】子どもの椅子と大人の椅子「2つの椅子」に腰掛けようとする日本

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子ども(フリー写真素材) - Sputnik 日本, 1920, 31.01.2023
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岸田総理大臣は、通常国会で施政演説方針を行った中で、少子化と子ども・子育て問題について触れ、「待ったなしの課題である」として対策実施に向け、強い意気込みを見せた。ロイター通信はこれに関連し、岸田氏はこの問題を「今やるしかない問題だ」と指摘したと伝え、岸田総理大臣は、「少子化問題と子ども・子育て問題は、待ったなしの先送りできない問題だ」と述べたとしている。
この施政方針演説では、日本の人口危機に対する深刻な懸念に対し、緊急措置を講じる必要がある点が大きく強調された。しかし岸田総理大臣は、総理就任以来、一貫して、国民に対し、何よりも防衛費を増大することが必要不可欠だと訴えてきた。
一方で、「(日本は)社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際と呼ぶべき状況」(岸田氏本人の表現)となったのである。今、岸田内閣に対する支持率は低下の一途を辿っている。
そして、岸田内閣は、内政における欠点を早急に正すための資金を一体どこで見つけるつもりなのだろうか。今、多額の予算が近代的な武器を整備するために使われている。
赤ちゃん - Sputnik 日本, 1920, 22.12.2022
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これに関し、ロシア科学アカデミー中国・現代アジア研究所、日本研究センターのオレグ・カザコフ主任研究員は、実際、この問題は、前の政権が内政と外交の両方で「問題のギャップ」を埋めようとしていたような単純なものではないと指摘する。
「日本の経済は現在、事実、厳しい状態です。これは、国際的なもの、国内のものなど、多くの問題に起因しています。そしてそれらの問題によって、財源をどうするかという厳しい問題が持ち上がっています。しかも、必要なのはあらゆるものへの財源です。岸田内閣には、今、少子化対策(出生率の向上)だけでなく、安全保障問題にも財源が必要だからです。なぜなら日本は現在、安全保障と自国の防衛力が「脆弱なもの」であることを苦しくも認めている状況にあります。従って、日本政府にとって最大の課題は、自衛隊に最新の防衛装備を与えるための資金を見つけることです。日本がある程度、自信を持って、日本は実際、外からの脅威に対抗することができると言うことができるようにすることが必要なのです」
一方、少子化問題の解決について、カザコフ氏は、おそらく出産を支援するための補助金という形になるだろうと推測している。
「多子世帯への支援金は、子どもの教育費の支払いを助けるものになります。まさに今、この問題について協議されています。どのくらいの額にするのか、またどのくらいの期間にするのかなど詳細が話し合われているところです。しかし、審議のプロセス(そして決定までの期間)は長引くでしょう。なぜなら日本は『戦略的政策』をとっているからです。政治家たちは今のことだけを考えているわけではなく、かなり先を見通し、国を戦略的に発展させていく必要性を理解しているのです」
しかし、出生率の低下は、昨日今日始まったものではなく、はっきり言えば、「かなり古い問題」と言って良いものである。ではなぜ、岸田総理大臣は、今になって、これを最優先の課題に据えたのだろうか。
夫婦 - Sputnik 日本, 1920, 26.10.2022
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日本は2021年に過去最低となる出生数を記録し(81万1,604人)、人口が史上初めて自然減となった。
「昨年の出生数は81万1,604人で、1899年に遡る厚労省のデータで最低となった。死亡数は143万9,809人で、人口全体で62万8,205人の減少となった」
オレグ・カザコフ氏は、(長期間の)統計データの分析が、問題のより明確な理解に繋がり、どのような人口危機を引き起こすのかについて考えさせるものになったのだろうとの見解を示している。
「人口問題は、日本で少しずつ優先的なものになりつつあります。ただ問題を指摘するだけでなく、真剣にそれについて話し合うということは、今後の決定を下す上で、非常に重要な一歩です。現在、人口動態をめぐっては、重要なときを迎えています。そこに政府は集中する意向です。必要があれば、補正予算を組み、人口問題をより効果的に解決するために憲法を改正するでしょう。
この政策の重要な目標は、日本の人的リソースの増大です。というのも、出生率の低下(日本人の減少)が経済分野でネガティブな要素を作り出していることは、ますます明らかになっているからです。とりわけ、不足する人的リソースのために、外国人を引き込む必要があるという状況です。これは、日本社会においても、新たな問題とリスクを引き起こします。そこで、今、日本社会における人口問題を解決するための課題を据えることは、まったく根拠あることなのです」
つまり、日本政府の考えは合理的なものであり、政府はあらゆる方法で、直面する社会問題を解決する意向です。ただし、岸田政権がそのための財源を見つけることができるかどうかは依然、はっきりしません。しかしそれでも、このような決意は、日本の少子化問題を実際に解決できるかもしれないという楽観的な考えを抱かせるものです。
一方、雑誌「エクスペルト」のアナリスト、セルゲイ・マヌコフ氏は、楽観視はできないとの立場を明らかにし、日本は人口危機にそれほど早急に対処できないだろうと述べている。
「中国も、現在、日本と同様の人口問題を抱えています。中国政府は、およそ10年前から、できる限りの資源を使って、この問題の解決に取り組んでいます。中国のソーシャルネットワークユーザーたちの間でも興味深い情報が共有されています。(公共サービスの)職員らが、子どもを持とうとしている家族に直接電話をしてきて、いつ子どもが誕生して政府を喜ばせてくれるのかと訊くのだそうです。しかし、現在、どんな支援策も、プロパガンダも機能しないことは明らかです。中国人はかなり責任感が強く、規律正しい民族にも関わらずです。そこで、もし中国でもうまく行かないものが、日本で成功することなどあるのだろうかという至極当たり前でロジカルな疑問が湧き起こるのです」
つまり、日本だけではないということである。今後数年の間に、きわめて厳しい人口危機に直面するのはアジアでも日本だけではない。最近、中国政府は、昨年、中国では61年ぶりに人口が減少したと明らかにした。
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一方、中国にとっては(人口問題が出てきたとはいえ)このような統計の傾向はまだ新たなものであるが、日本にとってこれはすでにかなり以前から見られる現象である。
研究者らは、中国の人口は減少し始めるだろうと予測していたが、そうなるのは、今後数十年後だと考えていた。しかしそれは誤りであった。しかしそれでも、中国は「子どもをめぐる戦い」で勝利するつもりである。そこで、未来に向けた戦いを、敗北するかもしれない時期より随分前からスタートした。
日本はかなり遅れをとって、国の存続の危機を防ごうとしている。しかも、現在、子どもの問題と防衛費という2つの優先課題がはかりにかけられている。これは均衡の取れないバランスである。そこで今もなお、日本の子どもたちの平和な未来(憲法第9条の維持)か、大人の国家の軍事化への悲劇的な一歩という2つの選択肢のどちらに重きが置かれるのか不透明である。
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