【視点】日本は国際問題の平和的解決への貢献を望みつつ、「戦争に加担」することになるのか

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  - Sputnik 日本, 1920, 27.04.2023
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日本の与党は武器を含む防衛装備品の輸出の制限の見直しを提案した。現在、日本は武器を含む防衛装備品の輸出を、共同で開発、製造している国向けに限定しており、これに合致するのは、事実上米国だけとなっている。一方で、軍事防衛ロビーらは、すでにミサイルと防空システムのウクライナへの供与の可能性を検討するよう提案している。さらに自民党は東南アジア諸国への艦艇の輸出を許可する意向を示している。
日本政府高官たちのこの破壊的な発言の裏には何が隠されているのか、そしてなぜ今、こうした動きが日本国内で見られているのか、「スプートニク」が取材した。日本は一体どのような要因の影響から、戦後の平和的秩序から大きく逸脱しようとしているのか。

企業界は「戦争で利益を上げる」用意があるのだろうか

歴史学博士で、東洋諸国大学の教授であるアナトリー・コーシキン氏は、日本の防衛装備品の(戦争当事国を含む)外国への輸出に関する制限の解除は、今、与党自民党だけでなく、日本を代表する企業界の代表からも出されている提案だと指摘する。
「この計画には、国内に大規模な防衛産業複合施設を創設しようという試みが隠されています。これは、日本経済を、ここ数十年にわたって続いている停滞状態から抜け出させることを目的としたものです。企業界は防衛装備品の製造を、国や国民が感じ続けている困難を克服するための効果的な動力と見なしています。そしてこのことは日本政府と企業界にとって、ウクライナへの支援拡大よりもはるかに重要なことなのです」
とはいえ、ウクライナへのミサイルおよび防空システムの供与の可能性に関する提案は、日本が平和憲法で定めた新たな制限に抵触するものであることは間違いない。
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日本を利用し、自らの利益を「搾り取る」米国

コーシキン氏は、こうした動きから、米国が日本に圧力をかけていることはますます明らかになっているとし、それは何より、アジアにおける米国の利益を達成することを目的としたものだと述べている。
「大々的な日本の独占企業が、現在、米国にも存在しないような軍需製品の開発プロジェクトを進めている可能性も排除できません。第一にこれは極超音速技術に関するものです。米国は、現在、最先端兵器の開発に日本を引き入れることに大きな関心を持っています。そこで、米国の実際的な関心を持っていることは明らかです。米国と共同で開発した装備品の交換のルートは、すでに米国と日本の間でかなり以前から確立されています。
しかし、これは米国との間で機能するものであり、そのことが現在、米国にとっては十分でないことは明らかです。なぜなら日本は有効的な武器を製造することができ、それを第三国にも供給することができるハイテク国家であり、とりわけ、ウクライナにも供給ができるからです。これが、今、与党がこの国に対して殺傷能力のある武器の輸出に関する協議を進めている理由の一つであり、そしてこのことがロシアと日本の対立を一層深めることになるのは明らかです」
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矛盾は放置しても、歴史的な怒りは忘れない

そしてそれは露日間だけではない。コーシキン氏は、日本は、こうした行動が、中国、北朝鮮、韓国といった近隣諸国からの日本の軍事化に対する新たな懸念を呼ぶということを認識すべきだと指摘する。
「韓国の現大統領は、日韓関係が悪化した時代に導入された日本に対する制限を解除し、日本との間で全面的に『親しい関係』を展開しています。しかし、韓国人と日本人の関係はというと、両国の複雑な過去を理由に、今もきわめて疑わしいものとなっています。従って、(韓国がこれまでのように米国だけでなく、日本とも同盟関係を結ぶことになる)地域における新たな軍事ブロックの創設は韓国国内で大きな反発を呼んでいます。というのも、現在、日本が大規模な防衛産業複合施設を含む強力な軍の創設に向けた路線を取ることを決めたことは疑いようのないことだからです」

米国は日本をNATOのグローバル版に向け準備させているのか

コーシキン氏はさらに、日本は、米国の同意と積極的な奨励を受けて、この計画を非常に早いペースで実現していると指摘する。
「最近まで米国自身、日本の軍事主義の復興に懸念を抱いていました。しかし、今、この懸念はすっかり忘れ去られてしまいました。世界では、実質的に、新たな2つの陣営の対立が起こっているからです。
こうした状況における米国の思惑はきわめてはっきりしています。それは日本を完全に自身の軍事戦略に『引き込む』ということです。しかもアジア太平洋地域だけでなく、世界規模で、です。いわゆるNATOのグローバル版で、日本は世界第3の経済大国として、重要な位置を占めることになります。当然のことながら、これはかつて日本の軍国主義に苦しめられた国々を不安にさせるものでしょう」
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ポーランドはウクライナで欧州による平和的解決の仲介者としての役割に失敗し、日本は同じ過ちをアジアで繰り返すのか?

在日米陸軍のジョエル・ヴァウル司令官自身が、特別に開いたブリーフィング会見で、日本が、現在の国際紛争の解決において、どのような「歴史的な地位」を見つけたかについて指摘したことは特筆すべきことである。
しかも自分の場所だけではないのである。ジョエル・ヴァウル司令官によれば、日本は自身を「アジアにおけるポーランド」だと位置付けている。「日本はポーランドのようなものであり、フィリピンはルーマニア、中国はロシアであり、そして台湾はウクライナのようなものだ」と。
一方、ウクライナ紛争は今、激しい戦局を迎えている。その事実を踏まえれば、ポーランドはウクライナ紛争の予防において何らかの歴史的な役割を果たしたとしたら、それは否定的な意味のものだったと言える。
つまり、平和的解決の仲介者としての役割を果たすことはできなかったのである。そこで、それを日本人に当てはめてみると、アジアにおいて、台湾問題を日本の尽力によって平和的に解決できる可能性はそれほど大きくない。
コーシキン氏は、つまり、米国は今、日本に、大戦争の扇動者という、ポーランドの役割を果たさせようとしているのだと述べている。
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野党と世論は、急いで回答を出すことにも、武器の輸出にも反対

おそらく、「公明党」も同じような懸念を抱いている。公明党は総じて武器輸出の制限緩和には同意しているものの、あまりにも過激な決定を早急に下さないよう求めている。また公明党は、ウクライナに供給する支援物資に関しても、地雷除去装置に限るべきだとしている。
すでに知られているように、日本はウクライナにヘルメットや防弾チョッキといった支援物資を送っている。
日本の世論は、現行の制限を解除することには反対の姿勢を示している。「日経新聞」が2月に実施した世論調査で、ウクライナへの武器供給を支持すると答えたのは回答者のわずか16%で、76%が反対と答えた。
アナトーリー・コーシキン氏は、日本政府がこうした野党の意見や世論に耳を傾けるとはとても思えないと述べている。
「与党の自民党が提出した反動的な法案が、時間はかかっても、結局、最終的には採択されるということは歴史的にも証明されています。ですから、世論調査ではこうした(日本人のほとんどが憲法第9条の改正に反対であるという)結果が出ているにもかかわらず、最終的には法案が採択される可能性が非常に高いのです」
一方、日本の陸上自衛隊司令部は、ウクライナに対し、2029年度予算から、MLRS(多連装ロケットシステム)を供給することを提案している。
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「日経新聞」はこの問題について、現在の政策では紛争地域への武器の輸出は禁じられているため、まだ正式な決定は下されていないと伝えている。
しかし、こうした国際的な動きに加わろうとする自民党の大きな努力は、日本が踏み出した将来的な軍事化の道を引き返すことはないことを示す根拠となるものである。日米双方は、ゴールデンウィークが明けた後すぐに、他の国々に防衛装備品を譲渡する問題について協議を再開する予定である。
つまり、文字通り、国際情勢における平和的解決の仲介者が「議長国」であるG7広島サミットの直前に、である。
しかし日本はすでに、国家防衛の必要性があれば、他の国の領内に攻撃を行ってもよいとしており、米国からは、まったく防衛兵器とはいえず、事実上、攻撃兵器に区分される戦略兵器(巡航ミサイル「トマホーク」500発)を調達している。
そして、米国が1983年にこの兵器を軍に配備して以降、米国が参加するほぼすべての軍事紛争でこれを使用してきたことはよく知られているところである。
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