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【解説】穀物合意の停止 日本メディアが伝えない「人類を人質」にしたのがロシアではなく西側の理由
【解説】穀物合意の停止 日本メディアが伝えない「人類を人質」にしたのがロシアではなく西側の理由
Sputnik 日本
... 2023年7月21日, Sputnik 日本
2023-07-21T21:43+0900
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穀物合意 現状と今後の展開
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そもそも穀物合意とはロシアが穀物合意を停止して以降、日本の各紙の見出しには「人類を人質に取った」「困窮を広げる蛮行」と米政府の受け売りのようなロシア批判のフレーズが踊る。一部では西側諸国がロシア産食品などへの制限解除を履行しなかったことが原因と伝えるメディアもあるが、ロシアの立場を正しく反映した報道は少ない。そもそも、穀物合意の前提はロシアとウクライナが軍事衝突しているなか、最貧国を援助するという人道目的で、双方の穀物や肥料を国際市場に供給し続けることだった。ウクライナ産穀物の輸出だけでなく、ロシアの食料輸出も対等に行うという交換条件のもと結ばれたもので、無条件にウクライナからの輸出を進めるものではない。だが、実際には合意のロシア産食料輸出に関する部分は、西側諸国による銀行決済、輸出船の保険適用などの制限(各国によるロシアの食料輸出に係る金融・保険・物流分野の制裁解除を進めることは、国連の責務として協定文書に明記されている)が足かせとなり成果が出なかった。また、穀物合意で輸出されたウクライナ産穀物の内、最貧国に渡ったのは全体のわずか2.3パーセント(76万8600トン)で、大部分はEUや中国を始めとする先進国や比較的裕福な発展途上国に供給された。さらに、ウクライナ側は軍事目的で利用しないことを条件に安全が保証されていた航路を使い、クリミア半島などへの攻撃を行ったことで、ロシアとしては合意を停止せざるを得なくなった。それでも尚、ロシアは制限が解除されれば直ちに合意に戻ると表明している。西側の破綻した論理穀物合意を通してウクライナから最貧国に渡った穀物が少ないのは周知の事実だが、西側諸国はそれでも「貧しい国にしわ寄せが行く」などと反論するだろう。イタリアのグイド・クロゼット国防相が伊紙「ラ・スタンパ」のインタビューで述べた言葉を借りれば、次のような論理となる。だが、この主張には西側の自己本位な意図が隠れている。この発言を言い換えれば、「ウクライナ産穀物がなくなれば、最貧国が買う分を裕福な国々が買い漁る」と宣言したことにほかならないのである。さらに、ロシアはアジアやアフリカの最貧国に対し、無償で穀物を提供する用意があると度々表明していることも忘れてはならない。つまり、ウクライナ産の穀物供給が途絶えても、ロシアからの穀物輸入を拒否する西側諸国は価格高騰のダメージを受けるかもしれないが、彼らがロシア批判の拠り所としている「最貧国への穀物供給がなくなる」という事態にはならないのだ。「人質」を取った犯人最大の問題は別にある。ウラジーミル・プーチン露大統領は、「西側諸国が最貧国へのロシア産肥料の無償提供に関してさえも障害を設けている」と述べている。一例としてプーチン大統領は、制裁の影響で欧州各国の港に留め置かれた最貧国向けの肥料や食料26万2000トンのうち、目的地にたどり着いたのはマラウイとケニア向けの2便計5万4000トンにとどまっていることを挙げている。だが、これは氷山の一角だ。ロシアは世界の小麦輸出市場の20パーセント(2020年)を占める世界最大の穀物供給国であり、制裁が解除されれば世界を食料危機から救うことになる。一方、ウクライナも穀物大国であることには違いないが、その割合は9パーセントあまりでロシアよりは規模が小さい。西側諸国は世界トップの穀物供給国のロシアの輸出を制限し、世界市場で小麦や肥料が高騰する状況を自らつくり出している。ロシアは穀物輸出を望んでいるのに、「ロシアが食料を武器にしている」という的はずれな言説が飛び交っているのだ。さらに、西側はロシアによる最貧国への食料支援さえ妨害し、食料危機の全責任をロシアに押し付けている。このように全体像を見渡してみると、ロシアと西側諸国のどちらが「人類を人質」に取っているかは明白だ。
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国際, ロシア, ウクライナ, 食料, 戦争・紛争・対立・外交, 貿易, 経済, 対露制裁
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【解説】穀物合意の停止 日本メディアが伝えない「人類を人質」にしたのがロシアではなく西側の理由
2023年7月21日, 21:43 (更新: 2023年7月23日, 16:25) 黒海沿岸の港からのウクライナ産穀物などの輸出を定めた「穀物合意」への参加をロシアが停止したことを受け、西側諸国はロシアが「人類を人質に取っている」などと非難している。だが、これまでの統計や各国の政治指導者の発言を分析すると、西側諸国のロシア批判がいかに矛盾と欺瞞に満ちているかが見えてくる。日本を含む西側メディアが伝えない不都合な事実を、スプートニクがまとめた。
ロシアが穀物合意を停止して以降、日本の各紙の見出しには「人類を人質に取った」「困窮を広げる蛮行」と米政府の受け売りのようなロシア批判のフレーズが踊る。一部では西側諸国がロシア産食品などへの制限解除を履行しなかったことが原因と伝えるメディアもあるが、ロシアの立場を正しく反映した報道は少ない。
そもそも、穀物合意の前提はロシアとウクライナが軍事衝突しているなか、最貧国を援助するという人道目的で、双方の穀物や肥料を国際市場に供給し続けることだった。ウクライナ産穀物の輸出だけでなく、ロシアの食料輸出も対等に行うという交換条件のもと結ばれたもので、無条件にウクライナからの輸出を進めるものではない。
だが、実際には合意のロシア産食料輸出に関する部分は、西側諸国による銀行決済、輸出船の保険適用などの制限(各国によるロシアの食料輸出に係る金融・保険・物流分野の制裁解除を進めることは、国連の責務として
協定文書に明記されている)が足かせとなり成果が出なかった。また、穀物合意で輸出されたウクライナ産穀物の内、最貧国に渡ったのは全体のわずか2.3パーセント(76万8600トン)で、大部分はEUや中国を始めとする先進国や比較的裕福な発展途上国に供給された。
さらに、ウクライナ側は軍事目的で利用しないことを条件に安全が保証されていた航路を使い、クリミア半島などへの攻撃を行ったことで、ロシアとしては合意を停止せざるを得なくなった。それでも尚、ロシアは制限が解除されれば直ちに
合意に戻ると表明している。
穀物合意を通してウクライナから最貧国に渡った穀物が少ないのは周知の事実だが、西側諸国はそれでも「貧しい国にしわ寄せが行く」などと反論するだろう。イタリアの
グイド・クロゼット国防相が伊紙「ラ・スタンパ」のインタビューで述べた言葉を借りれば、次のような論理となる。
「95パーセントのウクライナ産穀物がアフリカ以外に輸出されている。だが、ウクライナ産穀物の供給が途絶えれば、各国は別の調達先を探すことになる。これが世界市場の穀物高騰を招き、アフリカ諸国が穀物を買うのがより難しくなる」
だが、この主張には西側の自己本位な意図が隠れている。この発言を言い換えれば、「ウクライナ産穀物がなくなれば、最貧国が買う分を裕福な国々が買い漁る」と宣言したことにほかならないのである。
さらに、ロシアはアジアやアフリカの最貧国に対し、無償で穀物を提供する用意があると度々表明していることも忘れてはならない。つまり、ウクライナ産の穀物供給が途絶えても、ロシアからの穀物輸入を拒否する西側諸国は価格高騰のダメージを受けるかもしれないが、彼らがロシア批判の拠り所としている「最貧国への穀物供給がなくなる」という事態にはならないのだ。
最大の問題は別にある。ウラジーミル・プーチン露大統領は、「西側諸国が最貧国へのロシア産肥料の
無償提供に関してさえも障害を設けている」と述べている。一例としてプーチン大統領は、制裁の影響で欧州各国の港に留め置かれた最貧国向けの肥料や食料26万2000トンのうち、目的地にたどり着いたのはマラウイとケニア向けの2便計5万4000トンにとどまっていることを挙げている。
だが、これは氷山の一角だ。ロシアは世界の小麦輸出市場の20パーセント(2020年)を占める
世界最大の穀物供給国であり、制裁が解除されれば世界を食料危機から救うことになる。一方、ウクライナも穀物大国であることには違いないが、その割合は9パーセントあまりでロシアよりは規模が小さい。
西側諸国は世界トップの穀物供給国のロシアの輸出を制限し、世界市場で小麦や肥料が高騰する状況を自らつくり出している。ロシアは穀物輸出を望んでいるのに、「ロシアが食料を武器にしている」という的はずれな言説が飛び交っているのだ。
さらに、西側はロシアによる最貧国への食料支援さえ妨害し、食料危機の全責任をロシアに押し付けている。このように全体像を見渡してみると、ロシアと西側諸国のどちらが「人類を人質」に取っているかは明白だ。