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【視点】北朝鮮の人工衛星と日本のミサイルパニック
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... 2023年8月26日, Sputnik 日本
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人工衛星が日本を脅かすことはない日本ではなぜミサイルパニックが起こったのだろうか。北朝鮮は2023年8月24日から31日までの間に人工衛星の打ち上げを行うと日本側に通告していた。これに基づき、日本の海上保安庁は黄海および東シナ海の船舶に注意を呼びかけた。なぜミサイル防衛システムを導入する必要があったのだろうか?北朝鮮の人工衛星の軌道は弾道ミサイルの軌道とは大きく異なる。北朝鮮は通常、戦闘用弾道ミサイルを東方向に非常に高い軌道で発射し、ミサイルが日本海に落下するようにしている。北朝鮮のミサイルが日本上空を通過して太平洋に落下したケースが複数回あった。人工衛星の軌道は、北朝鮮西部の東倉里周辺の発射場からほぼ真南に向かい、いかなる国の領土や領海も通らない。北朝鮮には、人工衛星を平和的に打ち上げるための非常に狭い通り道しかない。打ち上げロケットは3段式で、稼働約10分で高度約500キロの軌道に衛星を投入する。第1段は燃料が尽きると分離して、発射場から約410キロ離れた韓国西海岸沖の黄海に落下する。その後、第1段と第2段の分離装置が切り離され、発射場から700キロの地点に落下する。そして発射場から2500キロ、またはフィリピン・ルソン島の東の海上にロケットの第2段が落下する。第3段とフェアリングはしばらくの間軌道上に残る。それぞれの落下地点は有人島から遠く離れている。予定通りの打ち上げであれば、日本を脅かすものではない。理論的には、打ち上げで非常事態が発生した場合、ロケットの破片が沖縄県最南端の島々に落下する可能性があると考えられる。一方、その可能性は非常に低い。その可能性はあまりにも低すぎて、防衛システムを展開させるほどのものではない。ミサイル防衛の技術的可能性衛星を搭載した北朝鮮のロケットを日本が撃墜することは技術的に可能なのだろうか?おそらく、可能だろう。日本の自衛隊が保有する迎撃ミサイルSM-3ブロック1Aは、最大射程700キロ、最高迎撃高度500キロ。すなわち対空ミサイルシステム「イージス」は、北朝鮮の人工衛星の軌道に達することが可能だ。接近して打ち上げロケットの予定の飛行経路の真下に位置を取った場合は特にだ。これは事実上、試射場の環境だ。一方、防空システム「パトリオット」はこの目的のためにはまったく役に立たない。パトリオットは軍レベルの防空システムであり、その任務は、師団や軍団などの兵団の戦闘地域を短距離および中距離弾道ミサイルから防御することにある。パトリオットの対弾道弾射程は最大20キロ、迎撃高度は最大20〜25キロ。北朝鮮の打ち上げロケットは第1段分離直後に高度60キロ以上に達するが、実際にはまだ北朝鮮領土の上空にある。予定通りであれば、沖縄県の島々の上空を通過するときの高度は約450キロ、すなわち宇宙空間を飛んでいる。一方、北朝鮮のロケットの破片が沖縄県の南の島々に落下した場合には、パトリオットが非常に役立つはずだ。パトリオットは、撃墜できなかったとしても、少なくとも落下するロケットの大きな破片を脇へそらすことができるだろう。そのような目的のためであれば、その能力は十分であり、迎撃条件はほぼ試射場と同じだ。したがって、ミサイルパニックが起こる理由はない。北朝鮮の打ち上げロケットの打ち上げが予定通りにいかず、非常事態が発生するという最も極端なケースの場合には破片が人の住んでいる場所を脅かす恐れがあり、そこに配備されているパトリオットを準備態勢におくことができるだろう。しかし、これはむしろ再保険だ。なぜならその可能性はごくわずかにすぎないからだ。では、なぜミサイル防衛システムを配備するのだろうか?ただ力を誇示しているだけなのだろうか?人工衛星撃墜は戦争につながる恐れがある一方、ここには政治的側面がある。人工衛星を搭載した北朝鮮の打ち上げロケットが撃墜された場合、おそらく北朝鮮は同国船籍の船舶または同国の管轄下にある航空機に対する攻撃と同等とみなすだろう。そのような事態はまだ発生していないため、どのようなことが起こるかを述べるのは難しい。これは、何らかの変なミサイルではない。これは間違いなく人工衛星の平和的な打ち上げであり、事前に通告され、中継され、国際データベースにはこの新しい宇宙物体が登録される。したがって、人工衛星の撃墜は戦争のきっかけとなり、核攻撃の可能性も排除できない。日本の政治家たちは、北朝鮮に対して「弾道技術」の開発を禁止する国連安全保障理事会決議を引き合いに出す可能性がある。なお、この決議は明らかに差別的な性格を有しているほか、次のような疑問も提起する必要がある。どうして北朝鮮に兵器の使用を強いるのか?東京には、北朝鮮の「弾道技術」がどこまで発展しているかを実際に目にするのが待ちきれない人たちがいるのだろうか?関連記事
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【視点】北朝鮮の人工衛星と日本のミサイルパニック
北朝鮮が人工衛星を打ち上げると、日本ではミサイルパニックが始まった。日本政府はイージス艦を派遣し、沖縄県の島々には迎撃ミサイルPAC3の部隊が展開し、沖縄県を対象に全国瞬時警報システム(Jアラート)が出された。北朝鮮の人工衛星の打ち上げは失敗した。朝鮮中央通信によると、3段目にトラブルが発生した。人工衛星の打ち上げは今年に入ってから2回目。1回目は5月に行われた。北朝鮮は今年10月に3回目の打ち上げを行う方針を明らかにした。
日本ではなぜミサイルパニックが起こったのだろうか。北朝鮮は2023年8月24日から31日までの間に
人工衛星の打ち上げを行うと日本側に通告していた。これに基づき、日本の海上保安庁は黄海および東シナ海の船舶に注意を呼びかけた。なぜミサイル防衛システムを導入する必要があったのだろうか?
北朝鮮の人工衛星の軌道は弾道ミサイルの軌道とは大きく異なる。北朝鮮は通常、戦闘用弾道ミサイルを東方向に非常に高い軌道で発射し、ミサイルが日本海に落下するようにしている。北朝鮮のミサイルが日本上空を通過して太平洋に落下したケースが複数回あった。
人工衛星の軌道は、北朝鮮西部の東倉里周辺の発射場からほぼ真南に向かい、いかなる国の領土や領海も通らない。北朝鮮には、人工衛星を平和的に打ち上げるための非常に狭い通り道しかない。
打ち上げロケットは3段式で、稼働約10分で高度約500キロの軌道に衛星を投入する。第1段は燃料が尽きると分離して、発射場から約410キロ離れた韓国西海岸沖の黄海に落下する。その後、第1段と第2段の分離装置が切り離され、発射場から700キロの地点に落下する。そして発射場から2500キロ、またはフィリピン・ルソン島の東の海上にロケットの第2段が落下する。第3段とフェアリングはしばらくの間軌道上に残る。
それぞれの落下地点は有人島から遠く離れている。予定通りの打ち上げであれば、日本を脅かすものではない。理論的には、打ち上げで非常事態が発生した場合、ロケットの破片が沖縄県最南端の島々に落下する可能性があると考えられる。一方、その可能性は非常に低い。その可能性はあまりにも低すぎて、防衛システムを展開させるほどのものではない。
衛星を搭載した北朝鮮のロケットを日本が撃墜することは技術的に可能なのだろうか?おそらく、可能だろう。日本の自衛隊が保有する迎撃ミサイル
SM-3ブロック1Aは、最大射程700キロ、最高迎撃高度500キロ。すなわち対空ミサイルシステム「イージス」は、北朝鮮の人工衛星の軌道に達することが可能だ。接近して打ち上げロケットの予定の飛行経路の真下に位置を取った場合は特にだ。これは事実上、試射場の環境だ。
一方、防空システム「パトリオット」はこの目的のためにはまったく役に立たない。パトリオットは軍レベルの防空システムであり、その任務は、師団や軍団などの兵団の戦闘地域を短距離および中距離弾道ミサイルから防御することにある。
パトリオットの対弾道弾射程は最大20キロ、迎撃高度は最大20〜25キロ。北朝鮮の打ち上げロケットは第1段分離直後に高度60キロ以上に達するが、実際にはまだ北朝鮮領土の上空にある。予定通りであれば、沖縄県の島々の上空を通過するときの高度は約450キロ、すなわち宇宙空間を飛んでいる。
一方、北朝鮮のロケットの破片が沖縄県の南の島々に落下した場合には、パトリオットが非常に役立つはずだ。パトリオットは、撃墜できなかったとしても、少なくとも落下するロケットの大きな破片を脇へそらすことができるだろう。そのような目的のためであれば、その能力は十分であり、迎撃条件はほぼ試射場と同じだ。
したがって、ミサイルパニックが起こる理由はない。北朝鮮の打ち上げロケットの打ち上げが予定通りにいかず、非常事態が発生するという最も極端なケースの場合には破片が人の住んでいる場所を脅かす恐れがあり、そこに配備されているパトリオットを準備態勢におくことができるだろう。しかし、これはむしろ再保険だ。なぜならその可能性はごくわずかにすぎないからだ。では、なぜミサイル防衛システムを配備するのだろうか?ただ力を誇示しているだけなのだろうか?
一方、ここには政治的側面がある。人工衛星を搭載した北朝鮮の打ち上げロケットが撃墜された場合、おそらく北朝鮮は同国船籍の船舶または同国の管轄下にある航空機に対する攻撃と同等とみなすだろう。そのような事態はまだ発生していないため、どのようなことが起こるかを述べるのは難しい。
これは、何らかの変なミサイルではない。これは間違いなく人工衛星の平和的な打ち上げであり、事前に通告され、中継され、国際データベースにはこの新しい宇宙物体が登録される。したがって、人工衛星の撃墜は戦争のきっかけとなり、核攻撃の可能性も排除できない。
日本の政治家たちは、北朝鮮に対して「弾道技術」の開発を禁止する国連安全保障理事会決議を引き合いに出す可能性がある。なお、この決議は明らかに差別的な性格を有しているほか、次のような疑問も提起する必要がある。どうして北朝鮮に兵器の使用を強いるのか?東京には、北朝鮮の「弾道技術」がどこまで発展しているかを実際に目にするのが待ちきれない人たちがいるのだろうか?