今こそ国連憲章の原点に帰るとき=ラブロフ露外相、論文で国際情勢を論じる

© Press service of the Russian Foreign Ministry / メディアバンクへ移行ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相 - Sputnik 日本, 1920, 10.10.2023
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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は10日、現在の国際情勢を総括した論文を露外務省公式サイトで発表した。そのなかでは、このごろ行われた第78回国連総会で世界が重大な「地殻変動」を起こしていることが確認され、世界は一極支配の時代に終止符を打ち、国連憲章の原則に戻らなくてはならないと述べられている。

平等に基づく新世界秩序

「我々の目の前で文化的・文明的な多様性を反映したより公平な新しい世界秩序が構築されつつある。未来の輪郭は闘いのなかで生まれつつある。地球人口の85パーセントを占める大多数は、世界の富の公平な分配と文明の多様性の尊重、国際社会の民主化に賛成している。一方で米国を中心とする西側諸国の小さなグループは、新植民地主義的な手法を使い、消えつつある自らの支配を保持しようと自然な流れを止めようとしている」
セルゲイ・ラブロフ
ロシア外務大臣
ラブロフ外相は、平等の原則の放棄や交渉の不能性が「集団的西側」の「名刺」となって久しく、米国やそれに追従する欧州諸国は、様々な義務を約束してもそれを履行しないと指摘。例として第二次世界大戦中にナチスドイツと戦っていたときの、同盟国であるはずの米国と英国によるソ連に対する「想像を絶する作戦」の計画をあげた。そして、現在では北大西洋条約機構(NATO)がロシアの国境に迫っているとしている。
ラブロフ外相 - Sputnik 日本, 1920, 26.09.2023
第78回国連総会
【全文】国連総会 ラブロフ露外相の一般討論演説

NATO拡大の新たな兆候

ラブロフ外相はまた、「欧州大西洋とインド太平洋地域の安全保障は不可分」というスローガンのもとで、NATOは東半球にも拡大しようとしていると続ける。

「ワシントンは、AUKUS、米日韓3カ国の『トロイカ』、日韓豪NZの『4カ国』のような、自分たちの管理下にある小さな軍事政治同盟をつくり、その参加国を太平洋の舞台で自分たちのインフラを導入しているNATOとの実質的な協力に引き寄せている」

セルゲイ・ラブロフ
ロシア外務大臣
しかも、西側諸国は国家主権の平等などの国連憲章の基本的原則を破っているとラブロフ外相は強調する。西側諸国は他国の国益を追求する権利を否定し、誰とどのように国家関係を発展させるかを指示している。また、リトアニアで今年開かれたNATOサミットでは、「中国とロシアの巨大なパートナーシップ」がNATOにとって「最大の脅威」と位置づけられたことや、エマニュエル・マクロン大統領がBRICSの拡大について「国際情勢を複雑化するもので、西側の弱体化を招きかねない」と指摘したことにも触れた。
ヴァルダイ国際討論クラブにおけるプーチン大統領の演説 - Sputnik 日本, 1920, 07.10.2023
ロシアのプーチン大統領の演説
【全文】ヴァルダイ国際討論クラブにおけるプーチン大統領の演説

内政への不干渉

内政の不干渉という基本的な原則も攻撃対象となっており、ユーゴスラビア、イラク、リビアなど集団的西側がそれを体系的に破っていることを示す例は多々あると、ラブロフ外相は続ける。そして現在、西側が焦点をあてているのは、ウクライナを含む旧ソ連空間への拡大としている。

「ソ連崩壊後に米国が公然とウクライナの乗っ取りに着手したことは広く知られている。2004~2005年には親米候補を政権につかせるために、最初の国家転覆を承認した。ウクライナ憲法裁判所に法的根拠のない第3回投票の実施という違法な決定を強制した。2013~2014年の2回目のマイダンの際は、より無遠慮な干渉を行った。そして一連の西側の『訪問者』が、反政府デモの参加者に暴力的行為を直接奨励した」

セルゲイ・ラブロフ
ロシア外務大臣
しかも国家転覆の後、マイダン出身の政権の最優先事項は、ロシア語系住民の権利を制限することだったとラブロフ外相は指摘する。憲法違反の国家権力掌握に関するクリミア半島やウクライナ南東部の住民の不同意は、これらの地域の住民に対する対テロ作戦を招いた。ドンバス問題解決のためのミンスク合意に対する妨害は、西側は署名しておきながら履行するつもりはなかったという認識を強めただけだった。そして、このことは後になって西側の政治エリートの代表的人物さえも自ら認めたと、ラブロフ外相は強調した。
そして、現在ロシアには「侵略、侵攻、併合」などの疑いがかけられているが、奥底にある問題の原因についてや、西側諸国がどれほど長い間ナチス政権を育て上げてきたかについては一言も口にされていないと批判した。
ロシア外務省のザハロワ報道官 - Sputnik 日本, 1920, 09.10.2023
西側諸国によるウクライナへの兵器供与
露は宇に供与されたNATO兵器の横流しについてくり返し警告した=ザハロワ報道官

国連改革

ラブロフ外相によると、貪欲な西側の少数派の方針は、国際社会の深刻な危機を誘発してきた。そして今こそ、国連憲章に謳われている多極性の精神を実現すべきときだと加えた。
第1のプランとして、IMF(国際通貨基金)と世界銀行のいち早い改革をあげた。米国やその同盟国が投票権の分配を人為的に抑制するのを拒否し、グローバルサウスの現実と経済的重みを認めなくてはならないとしている。
ラブロフ外相は、国連安保理の拡大もアジアやアフリカ、ラテンアメリカ諸国の代表権の不在を解消する点においてのみ求められているとしている。
ラブロフ外相は、もし国際社会が原点に立ち戻り、国連憲章に基づく自らの義務を実践すれば、人類には一極時代の有害な遺産を克服する機会が現れると締めくくっている。
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