今のところロシアの特別作戦は「多くの人が望んでいたほど精力的に」進んでいるわけではないが、ロシアは当初、紛争で早期に勝利するためには激化は望んでいなかった。マーシェイマー氏は、このような激化の最終的な形態は核紛争になる恐れがあると指摘する。そしてロシアが核兵器を使用するには3つの状況があるという。
1つ目は、米国軍とそのNATO同盟国軍の参戦。このような展開が対ロシアの軍事バランスを動かし、一方のロシアは、大国を相手に自国国境ギリギリで、戦闘が自国領土に移行するというリスクを抱きながら戦わなくてはいけなくなる。戦略兵器の使用はこのような状況を救済することもできるだろうが、どのような結末になるかはわからない、と同氏は言う。
2つ目の核シナリオは、米国の直接参加なしにウクライナ自身が戦場で状況を打開すること。寄稿文では、このような展開はモスクワにとって存亡を脅かすものであり、核による対応は否定できないとしている。かつロシアにとって、報復を恐れることなく、非核保有国に核攻撃を仕掛けることは、より容易であると説明。米国は世界の核戦争の解決には本腰は入れないであろうからだ。
3つ目のシナリオには、外交的解決の展望なしに紛争が長期化し、ロシアにとって莫大な費用が嵩むこと。そしてここでも「有利な条件で紛争を終わらせることに絶望した」ロシアが核攻撃を開始する可能性がある、とマーシェイマー氏は述べる。
マーシェイマー氏は「これら悲惨なシナリオの1つは理論的に実現可能だが、それでもその可能性は低いため、特に心配することはない」とまとめている。とはいえ、今は軍事紛争の動きを予想するのは一層難しくなっている。そのため、ウクライナ軍事紛争の最良の策は、外交的手段による解決を探ることだろう。米国は「大惨事ごっこに夢中にならず」、意図的に紛争を長引かせないほうがいいとした。
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