FIFAワールドカップ・カタール2022

【視点】日本の独・西撃破だけじゃない 政治・社会的サプライズ尽くしのカタールW杯

中東・カタールで開かれたサッカーFIFAワールドカップ(W杯)2022は、フランスとの決勝戦で一進一退の攻防を制したアルゼンチンが優勝し、大盛況のうちに終わった。日本代表も強豪のドイツ、スペインに勝利する番狂わせで世界を驚かせた。一方、国際政治の専門家は、今大会は試合だけでなく政治・社会的な側面においてもサプライズ尽くしだったとみる。
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今大会、スタジアムではサプライズが相次いだ。日本が格上のドイツ、スペインを撃破する快進撃をみせたほか、サウジアラビアは優勝のアルゼンチンにグループ戦で勝利。チュニジアが準優勝のフランスに、韓国がウルグアイに、モロッコがベルギーに、イランがウェールズに、オーストラリアがデンマークにそれぞれ勝利するなど、想定外の番狂わせに世界が沸いた。
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大会をめぐる驚くべきことは試合だけではなかった。イラン・テヘラン大学で教鞭をとるホセイン・ルイバラン氏(政治学)は、3つの政治・社会的サプライズを挙げている。
まず第一に、カタール政府の大会の準備、インフラの整備だ。カタールでの開催が決まった約10年前、欧米諸国は本当にカタールでW杯が可能なのか、懐疑的だった。資源輸出などで豊かではあるものの、日本の秋田県ほどの面積しかない第三世界の小国であり、保守的な社会文化を持つカタールが世界的大イベントの開催に対処できないと思っていたようだ。
だが、カタールは試合会場となった8つの豪勢なスタジアムを準備しただけでなく、各スタジアムと宿泊施設の間に高速道路や地下鉄などのインフラを整備した。数万人規模の観客の流れを制御し、1日4試合の過密スケジュールを達成した。この成功はFIFAのジャンニ・インファンティーノ会長も称賛している。
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次のサプライズは、イスラムの社会規範のなかで行われた秩序ある大会の成功だ。カタールは大会前、婚前交渉の禁止、LGBTをめぐる規制、イスラム法に則った露出の少ない女性の服装などを求めたため、一部の欧米諸国からは懸念の声があがっていた。
ところが、FIFAは結果的にカタール大会が秩序ある模範的なものになったと示唆している。アルコールの禁止やイスラムのドレスコードが性暴力の防止に寄与したとしており、インファンティーノ会長も「過去の大会とは比べ物にならないほど成功した大会」との認識を示している。今大会はファン同士の抗争の犠牲者が出なかった初めてのW杯であり、スポーツの精神を最もよく反映した大会となった。
また、最後にルイバラン氏はW杯に参加していないパレスチナの旗がしばしば見られたことをあげている。モロッコ、チュニジアなどアラビア語圏の国々の試合のあとには、パレスチナの旗を掲げるファンらの姿があった。アラブ諸国やそのファンたちが試合でパレスチナの旗の存在を容認したことは、抑圧されたパレスチナの人々への連帯を示したことを意味する。こうして人々が政治的、人道的主張を自由で非政治的なスポーツの場で表明できたことは、最も大きなサプライズだった。
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