岸田首相、仏でユネスコ事務局長と面会 韓国反発の「佐渡金山」世界遺産登録へ説明

欧米歴訪中の日本の岸田文雄首相は9日、最初の訪問先のフランスに到着し、パリ市内のホテルで国連教育科学文化機関(ユネスコ)のオードレ・アズレ事務局長と会い、日本が世界遺産登録を目指す「佐渡島の金山」(新潟)に関する政府の立場を説明した。共同通信が伝えている。
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共同通信などによると、日本政府は2022年2月、佐渡金山の世界文化遺産への登録のためにユネスコに推薦書を提出。だが、ユネスコは佐渡金山の「推薦書の不備」を指摘し、日本政府は2023年中の登録手続きを断念していた。現在、2024年以降の登録を目指しており、今回は岸田首相がトップによるロビー活動に出た格好となる。
新潟県と佐渡市は、佐渡島の金鉱山、銀鉱山を世界遺産にふさわしい「顕著な普遍的価値」を持っているとして、2007年に初めて国内推薦の候補として名乗りをあげた。佐渡金山には、400年以上にわたる様々な時代の坑道、採掘跡、産業遺構が保存されており、採掘技術の発展の歴史を見ることができる世界で唯一の場所である。
「歴史による戦争」 韓国は佐渡金山の世界遺産登録を阻止することができるのか?
一方で韓国は、20世紀に朝鮮半島出身者が働いていたことから、佐渡金山を「強制労働被害の現場」と主張し、以前から世界遺産の候補に挙げることに反対の立場を示している。
日韓関係の懸案事項となっている徴用工問題とは、日本統治時代の韓国で徴用で過酷な労働を強いられたとして韓国人元労働者や遺族が日本企業に補償などを求めている問題。日本側は1965年の日韓請求権協定で徴用工問題は「解決済み」だと再三主張してきた。
2018年秋には、韓国の大法院(最高裁)が新日鉄住金(現・日本製鉄)と三菱重工業に対し、それぞれの被害者への賠償を命令。しかし両社とも支払いを拒否し、被害者側は被告企業の韓国内資産を現金化するための手続きに入っている。
だが、昨年5月に就任した韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は日本との関係改善を加速させており、徴用工問題の解決にも力を入れている。国内の反日世論を抑え現金化を回避し、政治的解決が図れるかどうかが焦点となっている。
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