【視点】シリアの目標に到達しなかったトマホーク 日本はそうはならないという自信はあるのか

日本が500発購入する予定となっているのは、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の最新型である。「スプートニク」は改良型のトマホークの性能について、アナリストに見解を伺った。もっとも重要なのは、この改良型の優位性が日本の防衛力の向上を決定づけるものになるのかということである。トマホークの購入費には2113億円が計上されることになっている。
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12月に岸田文雄内閣で決定された2023年度の当初予算案では、トマホークミサイルの調達に2113億円(16億ドル)を計上するとされた。

いかに優れた兵器なのか

トマホークは1991年の湾岸戦争、2003年のイラク戦争で使用されたことで知られている。改良型は、それを遥かに「インテリジェント」なものにした。
しかし、防空部隊博物館のユーリー・クヌトフ館長は、たとえ改良されても、兵器「トマホーク」は、シリアでも露呈されたように、いずれにせよ弱点を持ったままであると指摘している。とはいえ、まずは良い側面について述べたい。
インテリジェントな改良型トマホークは同時に3つの誘導装置を備えているとクヌトフ氏は指摘する。

「1つ目は、飛翔予定地域の等高線地図情報(デジタルマップ)、そして、レーダー高度計で計測された数値をコンピュータに入力されたものと照合する地形等高線照合装置です。

2つ目はGPS誘導装置。これは、目標の位置を世界測地系WGS 84で特定し、その距離とそこまでの飛行時間を測定するものです。

そして現在、積極的に導入されている3つ目が、デジタル風景照合装置です。これもあらかじめコンピュータにインプットされている画像情報と、実際の風景との照合するものです。このように同時に3つの誘導システムを用いることで、改良型ミサイルの精密度を高めることに成功しています。つまり、精密度と信頼度を上げ、電子戦のシステムからの防御を確実にしているのです」。

クヌトフ氏
専門家
トマホークの性能における「インテリジェンス性」について、岸田首相は、迎撃を回避する飛翔も可能である点が、日本の安全保障ひいてはトマホークの購入のもっとも優先的であると述べた。
一方、トマホークの使用はシリアにおいて、十分に効果的ではないことが分かっている。ユーリー・クヌトフ氏は、最新型であっても、迎撃から必ずしも回避できないと述べている。
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無敵というのは神話 到達したのは59発中23発だけ

米空軍は2017年、ドナルド・トランプ前大統領の指示に従い59発の巡航ミサイルを、シリアのホムス県の空軍基地に向けて発射した。
しかし、シリアの空軍基地に到達したのは23発だけであった。残りの36発がどこに着弾したのかは明らかではない。ロシア国防省の報道官であるイーゴリ・コナシェンコフ少将は、シリアでの状況について、つまり、シリアの空軍基地に対する米軍のトマホークミサイルによる大規模攻撃の効果はきわめて低いものであるとコメントした。

「つまり、機動性に関しては、旧型をそれほど上回っていないということです。トマホークの大部分は、シリア空軍によって撃墜されたか、レーダーシステムの目標から外れたのです。

これは、防御能力がかなり高くなったとしても、トマホークと戦う方法はまだあるということを意味しています。おそらく、改良型トマホークには電波やその他の電磁放射には見えない素材が多く使われていると思われます。

しかし、こうしたファクターがあっても、ロシアの対空ミサイルシステム「パンツィリ」や「TOR M2」はトマホークに効果的に対抗することができます。また、次世代地対空ミサイルシステムS350「ヴィーチャシ」は米国やトルコなどの国々で、すでに「巡航ミサイルの殲滅者」の異名をとっています」。

クヌトフ氏
専門家
しかもトマホークの最新型は、電子戦に対して本当に強力な防御を備えており、制御システム、通信システム、偵察システムの電子機器に電波放射や電波妨害を及ぼすことができる。しかしながら、日本はさらに防衛費を増大させて、予算を計上する用意がある。
日本政府は2027年4月までにトマホーク(射程2500キロ)500発を購入する。その結果、中国の沿岸部も射程圏内に入ってくる。
クヌトフ氏は、防衛にこれほどの予算を計上することは、おそらく、他の重要な声明に関係しているのではないかと推測する。
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自国の開発は延期、米国への支払いは増大

最近、日本の防衛省は、日本の領内に米国製の極超音速兵器を配備する可能性について検討していることを明らかにした。

「一方、日本は、よく知られているように、(2035年までに)独自の極超音速ミサイルを開発する計画でした。しかし今のところまだ完成はしていないようです。5世代ジェット戦闘機もこれと同様で、結局は米国の戦闘機F35を購入することになったわけです。

日本政府が独自の開発に資金や力を注がないよう、米国は米国製の極超音速ミサイルという形で防衛することを提案したのです。しかし、このミサイルもまだ開発途中です。ただ、日本には核の傘は今必要なのです。ですから、米国は自分のまだ『神話のような』極超音速ミサイルの代わりに、すでに配備されている最新型のトマホークを追加的に供給することを提案したのでしょう」。

クヌトフ氏
専門家
つまり、米国からすれば、これは一種の保険のようなものである。極超音速ミサイルの開発が成功しなかった場合には、日本の防衛という課題を巡航ミサイルトマホークが行うというものだ。しかし、本質として、極超音速は、日本にとっては「袋の中のネコ」(実際に品定めすることなく、その品質や正統性を知らずに品物を購入すること)であることは明らかである。
シリアでの事件でも露呈したようにすでに性能が確認された最新型のトマホークは迎撃を回避する能力を備えていたとしても弱点を持っている。つまり、日本は事実上、独自の研究開発を断念あるいは、それを米国の軍事モノポリーに提供しているのである。同時に日本政府は、米国の兵器に大量の資金を投じ、米国の国庫を豊かにしている。またそれは、米国の経済力と軍事力を高めることになるのである。しかし、日本にとっての米国の核の傘の信頼性については、大きな疑問が残っている。
一方、強力で安定した経済パートナーである中国との関係における信頼は弱まり、地域における中国との軍事紛争に近づきつつある。
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