どのミサイルも命中せず
迎撃ミサイル:速さに追いつけても、機動性がなければうまくいかない
「もしミサイルが高速で大きく機動すれば(たとえば曲がるなど)、負荷がかかります。そうすると少しずつ破損し、落下する可能性があります。そこで、日本は現在、他でもない機動時の負荷をより安定したものにできるミサイルの開発を進めています。というのも、弾道ミサイルが定められた弾道軌道に沿って飛翔すれば、かなりの機動性があるからです。つまり、極超音速兵器を迎撃するには、同様の性能を持つ迎撃ミサイルが必要となり、それをうまく機動させることが求められるわけです。しかし、極超音速の目標物を高速度で迎撃するミサイルとその機動性を操るというのは技術的に非常に難しい課題です。そこで米国と日本がこれを早期に開発できる可能性は少ないでしょう。なぜなら、こうした性能を持つミサイルの開発には何年にもわたる研究と、実験が必要だからです」
一歩先をいく中国
「こうした事実を見ても、日本は極超音速兵器迎撃システムの開発には大きな関心を持っています。何より、それは中国の極超音速兵器を迎撃することへの関心であり、こうした日本の考えは米国と一致しています。というのも、極超音速ミサイルは超高速で飛翔しますが、速度があることで、射程はかなり減少するのです。
そこで日本はもし極超音速ミサイル攻撃が行われた場合、日本がまずその対象となることを認識しています。もちろん、日本国内の米軍基地もその範囲に含まれます。ですから、米国と日本は現在、ウクライナ問題と同じくらい、中国の極超音速兵器との戦いについて懸念しています」
米国の最新兵器が絶対的だというイメージ
「米国の最新兵器に対する深刻な不信が生じています。最初に撃墜されたのが対戦車ミサイル、ジャベリンです。それは、米国が豪語していたほどの効果はないことが判明したのです。その後、ロシアはわずか半年で、米国の高機動ロケット砲システム、ハイマースに対処することができるようになりました。このハイマースは最高の兵器だとされ、ウクライナも大きな期待をかけていたものです。しかし、ハイマースには電子戦の方法で対処できることが判明しました。ハイマースのミサイルは5キロずれると効果が少なくなるということも事実として明らかになりました。
そして5月に入ってからはパトリオットの評判も下がっています。とはいえ、パトリオットは2019年にも、サウジアラビアの石油インフラへの攻撃に失敗しています。しかし当時、米国はその事実を「隠蔽」することができました。ですが、ウクライナでロシアのキンジャールを相手に負けを喫したことを隠すことはもはやできません。それでも、米国はパトリオットは損傷はわずかなもので、すぐに復活したかのように見せかけようとしています。いずれにせよ、米国の兵器に対する信用は明らかに失墜しています。しかも最新兵器に対する信用すらなくなりつつあります。当然、米国が兵器を売却している国々は購入する意味があるのかどうか考え直すようになるかもしれません」