同誌によると、米国防総省の報告書では次のように指摘されている。
「我々はウクライナ支援のための軍備の即応性を確保するうえで、予期せぬメンテナンスや修理、準備期間の延長をもたらす課題を特定した」
今回問題が指摘されたのは在クウェート米軍基地の装備。榴弾砲「M777 howitzers」全6基、高機動多用途装輪車両「M1167」全29台中25台が、戦闘で使える状態ではなく、ウクライナへ引き渡す前に修理を必要とした。
また、報告書では「M777 howitzers」に関して、その劣悪な保存状態のせいで、「これでは操縦者を死亡させる恐れがある」とさえ指摘されている。
これらの装備は米軍が配備して日常的に運用しているものではなく、あくまでもストックだ。だが、APS(準配備軍備蓄)にカテゴライズされており、緊急時は直ちに使用できるよう、配備兵器と同じように高いレベルで整備、維持し即応性を確保しなくてはならないとされている。
報告書を作成した国防総省幹部は「装備の不十分なメンテナンス、緩慢な管理監督の問題で、将来ウクライナ軍への装備供与に遅れが出る可能性がある」と指摘し、監査の終了を待たずして報告書を公表したと明らかにしている。また、「もし、米軍がこうした装備を必要とする場合でも、同じ問題が起こるだろう」と危機感を表明している。
こうした兵器の欠陥の背景には、米軍の整備にかける予算不足が一因としてありそうだ。在クウェート米軍基地ではAPSのメンテナンスに必要な9130万ドル中、3割以下の2780万ドルしか実際には予算が割かれていないという。
米軍の装備のメンテナンスの問題は、これまでも度々指摘されている。
これまでに、米海軍のチャールズ・ウィリアムス海軍准将は、存在する海軍の基地数に比して政府の予算は不十分だと指摘。基地で使用している艦船の状態は非常に悪く、関連インフラも50〜70パーセント程度しか機能していないという。
問題は陸、海だけでなく空を飛ぶ航空機にも及ぶ。昨年秋に公表された調査報告によると、米空軍、海軍、海兵隊に所属する49種類の航空機のうち、半数以上の機種が軍の基準を満たさず、戦闘態勢に問題があると指摘されていた。
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