防衛省によると今月2日、2018年から開発を進めている島嶼防衛用の新型対艦ミサイルの要素技術の研究として、川崎重工と339億円の契約を結んだ。浜田靖一防衛相は今年1月の会見で、「令和5年度予算に、モジュール化したシーカや弾頭、多機能性を持つ対艦誘導弾のベースとなるプラットフォームの設計、試作品の製造を実施するための経費として342億円を計上している」と表明していた。
島嶼防衛用新対艦ミサイル
© 写真 : 防衛省
米誌「ディプロマット」は、新型ミサイルの最大射程は2500キロに及び、西日本から発射すれば中国の島嶼部の基地を攻撃することができると指摘し、次のように紹介している。
「この新型巡航ミサイルは燃料効率の高い小型のターボファンエンジンを推進装置として使用し、飛行機のような翼を持ち水平飛行する。米製ミサイル『トマホーク』と射程、形状、性能などにおいて多くの類似点があるため、日本メディアでは『日本版トマホーク』とも称されている」
さらに、防衛省は目標観測弾の開発で三菱重工と221億円の契約を結んだ。産経新聞によると、これは「敵の防空網を回避して標的の探索や探知を行う」もので、2026年度の開発完了を目指す。開発後は即時部隊へ配備する。
目標観測弾
© 写真 : 防衛省
このほか、島嶼防衛用高速滑空弾(能力向上型)の開発で2003億円、極超音速ミサイルの研究開発で584億円の新たな契約を三菱重工と結んでいる。数量についてはいずれも防衛能力の秘匿のために公表されていない。
防衛省は4月にも新型ミサイルシステムの開発、改良、量産などに関する計3781億円の4契約を三菱重工と結んでいる。従来の12式地対艦ミサイル能力向上型の開発や日本から1000キロメートル以上離れた船舶や陸上目標を攻撃できる新型ミサイルの開発などが含まれている。防衛省は対中国や台湾有事を念頭に、九州・沖縄などの島嶼防衛力をいち早く強化するため、昨年の防衛計画を前倒して一部ミサイルの試作品段階での量産・配備を決定している。
浜田防衛相は6月1日、米国のロイド・オースティン国防長官と会談した。そのなかでは日米が共同で極超音速兵器迎撃システムを共同開発する可能性について検討することが明らかになった。スプートニクは米国はどのような目的で、こうした兵器の開発に日本を引き込んでいるのか。そしてなぜ、極超音速兵器の迎撃という課題が今、米国にとって重要なものになっているのか、専門家の意見を交えて解説した。
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