「日本のイニシアチブに対する地域各国の反応は、米国に対するものよりも拒否感が低いのです。そこで日本は、アジア諸国を加えた多国間体制の構築により積極的かつ独立した役割を果たしています。フィリピンは日本にとって、防衛装備品の輸出においてもっとも成功している国の一つです。日本はすでにフィリピンに6基の警戒管制レーダー6基を輸出しています。また、フィリピンは南シナ海周辺で戦略的な地位を占めています。さらに、フィリピンは、この地域における中国抑止のために米国と大々的な協力を行う用意を示している唯一の国です。たとえば、ベトナムでは、この地域での外国軍部隊の配備に対する制限が法で定められています。加えて、米国とベトナムの間で信頼関係が築かれたことはかつて一度もありません。それに対し、フィリピンは米国との協力を大々的に拡大する用意があるのです」
「日本と韓国は米国にとって歴史ある信頼のおけるパートナー国ですが、韓国の米軍は主に北朝鮮を対象としています。一方、日本について言えば、米国が新たな軍備を配備するための許可を得るのが難しいことがあります。加えて、日本は南シナ海からはかなり離れた場所にあり、アメリカのグアムはそれほど大きくもないのです。一方、フィリピンの国土は、対中国を目的とした米軍の配備や機動にかなり適しているのです」
「ウクライナにおける特別軍事作戦が始まってから、この制限はより厳しいものになっています。というのも、米軍はヨーロッパに10万人規模の部隊を置き、同時にウクライナを支援するため、年間数百億ドルを消費する必要に迫られているのです。同時に、中国が急ピッチで軍事力を増強する中、米国は別の方面でも緊張を感じています。そうした理由から、米政府は現在、日本の防衛力とその可能性の拡大に期待をかけています。そこには東南アジア諸国との協力における日本独自の役割も含まれています。日本はこれらの国々に沿岸警備隊の技術を供与し、技術者の訓練や養成を行なっています。まもなく、アジア諸国に日本の自衛隊の予備の兵器を譲渡することになるかもしれません。最後に、日本は、米国の緊張を解き、財政支援を行うことができる影響力のある経済プレーヤーでもあるのです」