ロシア外務省・フォーラム統括事務局のオレグ・オゼロフ局長によると、主な議題はロシアが穀物合意を停止した後の、アフリカ諸国への食糧供給になるとみられる。このほか、テロとの闘いや宇宙空間への兵器非配備、国際情報セキュリティなども話し合われ、今後4年間の協力の大枠を定めた覚書が交わされる予定。また、サミットのホスト役を務めるウラジーミル・プーチン大統領は、各国首脳との2国間会談も行う。
露産穀物を望むアフリカ
オゼロフ局長は、ロシアが穀物合意の参加停止を余儀なくされたことを受け、すでに食料問題に悩むアフリカの「多くの」国々から、ロシア産穀物類の供給を要請する声があがっていると話す。会議ではアフリカへの安定的な穀物供給に関する、具体的な措置も明らかになる予定だ。
「もちろん、議論するだけでなく、アフリカ諸国の課題に対する解決策を提案する。アフリカの代表団は、どうやって問題が解決されるかを理解してサンクトペテルブルクから帰国することになる」
これまでにプーチン大統領は「ロシアはウクライナ産穀物を、商業ベースでも無償提供の枠組みでも代替することができる」と述べている。ロシアは制裁下にも関わらず、アフリカへの食料、肥料などの供給実現に向けて積極的に取り組む姿勢を示している。
これまでの経緯をおさらい
国連とトルコの仲介で昨年7月に成立した「黒海イニシアチブ(通称・穀物合意)」は主に2つの協定からなっている。1つはウクライナの黒海沿岸の港から穀物を輸出するもの。もう1つは西側諸国によるロシア産食料・肥料の輸出に対する様々な制限の解除を国連が進めることを定めたものだった。
協定は人道目的で、食糧不足に悩むアフリカやアジアの最貧国への穀物・肥料の供給を目指していた。だが、穀物合意で輸出されたウクライナ産穀物の内、最貧国に渡ったのは全体のわずか2.3パーセント(76万8600トン)で、大部分はEUや中国を始めとする先進国や比較的裕福な発展途上国に供給された。
さらに、ロシア産の食料輸出解除に関する協定は、西側諸国による銀行決済、輸出船の保険適用などの制限が足かせとなり成果が出なかった。そのうえ、ウクライナ側は軍事目的で利用しないことを条件に安全が保証されていた航路を使い、クリミア半島などへの攻撃を行った。そのため、ロシアとしては今年7月17日以降の合意延長を拒否し、参加を停止せざるを得なくなった。それでも尚、ロシアは制限が解除されれば直ちに合意に戻ると表明している。
今後、ロシアがアフリカへの個別供給を進める一方、ウクライナ側はロシアの参加なしでの穀物輸出の継続を狙っている。26日のウクライナと北大西洋条約機構(NATO)の代表者による会談でもこの問題が議論されるほか、欧州連合(EU)はバルト海からの輸出を検討すると表明している。
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