なぜ金投資が重要なのか
何が価格に影響しているのか
「なお、主要通貨が下方方向に不安定な動きを示した場合、投資家は安定資産である金に投資を始める。例えば、2008年から2009年の世界金融危機の最中には、他の世界通貨に対してドルが下落した際、金価値が着実に上昇する傾向がみられた。
金価格に大きな影響を与える2つ目の基準は、インフレ期待だ。インフレ期待が高水準となり、経済が安定性を欠いているとき、金は価格が安定した魅力的な資産のように見える。例えば、トルコの急激なインフレは、この国の金価格の上昇と一致している。
金需要、ひいては金価格に影響を与えている3つ目の基準は、投資収益率だ。最も重要なパラメーターは、その国の銀行の主要金利。これが高ければ高いほど、有価証券への投資の収益性が高くなる。なぜなら、金は投資の代替手段だからだ。したがって、その代替手段の収益性が高ければ高いほど金の需要は低くなる。その反対に、国内の主要金利が低ければ、投資は貴金属の購入に向けられる」
「なぜなら、このような時期には貿易や政治的関係が変化するからだ。そして、その結果、あらゆる国の国債または通貨への投資のリスクが高まる。一方、永遠で安定している金は、国レベルでさえも魅力的な投資のように見えてくる。したがって、特別軍事作戦が始まった後、多くの国が自国の金保有量を増やした。日本も例外ではない。日本の保有量は(2021年初め時点で)81トン超増加した。つまり、10.5%増えた」
なぜ日本で金価格が最高値を更新したのか
「日本での金価格の上昇を詳しく見てみると、日本ではほぼすべての要因が重なり合ったことがわかる。まず、日本は主要金利が世界で最も低い国の1つであるため、日本では有価証券投資の収益性は低い。世界金融危機の後に急成長した日本経済の成長速度は、現在は大きく鈍化している。さらに、製造業で最も大きな減速が見られている。
国内の金消費量の高さと日本の金保有量の増加によって、市場の需要と供給の不均衡が生じた。また、対ロシア制裁とそれが世界経済に及ぼす影響と関連した世界的な不安定さによって、現在、金は最も魅力的な投資リソースになっている」