「帰ってこいと心配してくれる声もあれば、ロシアに残って大変な目にあっても自業自得だという声もありました。言うまでもなく、今起きていることは最悪ですし、この紛争が一刻も早く終わることを願います。ただ、ロシアのみを批判するだけでは何の解決にもならない、とも思っています。ロシアに携わる外国人である以上、ここであきらめたくないし、できる限りモスクワにいたいと思いました。撤退や休業の影響で日本人の駐在員の方が激減したこともあり、ここにいるからには、一般市民レベルで、生の情報を届けようと気持ちが固まりました」
「ロシアという国には予定調和がなく、例えば5年後にどうなっているかなんて全くわかりません。紛争開始直後にロシア経済はデフォルト・崩壊するなど日本のメディアは騒いでいましたが、現状では制裁を科す西側諸国のほうこそ深刻な状況が進んでいるように思えます。きっとこれからも予想したことのない、新しいことが起きるでしょう。その時に、ロシアを、どこか離れた遠くから見るのではなく、できる限り内側から見たいと思っています。先が見えなさ過ぎて、新しい発見が多いので、逆に今を生きている、という実感があります。そして、こんなに未来がわからない生活の中でも、小さな幸せを感じられると気づきました。
動画配信を続けていってどうするのか、という思いは常にあります。ただ、今、コメント欄がコミュニケーションの場になっていたりして、個人の力でもコミュニティを作れる、とわかったのは大きな収穫でした。動画配信をすることで、自然と日露をテーマにしたコミュニティができて、そこから大企業ではできないこと、新しいものを生み出す土壌や環境ができるのではないか、という予感がしています。もちろん、ロシアには日本人が理解できない精神性、文化が存在していることは確かです。でも、日露が隣国である以上、日露関係がゼロになることはないと思います。活動に自由が利く僕たちだからこそ、もがきながらも、これだ!と思えるものに出会えると信じています」