「日本南西部諸島への軍事インフラの整備は2010年代にはすでに始まっていました。これは尖閣諸島をめぐる東シナ海での対立が激化したためです。この悪化によって、日本は中国が潜在的な敵対国になりうると考えるようになりました。それ以降、日本人の視点からみると状況は悪い方向に変化しています。日本のアナリストや政治家は、台湾周辺の対立が紛争に発展した場合、日本も巻き込まれる可能性が高いと、今では公言しています。民間人の安全確保に関わることなので、都道府県から抵抗があるとは思えません。それと、自衛隊には自然災害時の住民救助活動があることも考慮しなければなりません。 なのでこうしたインフラ整備の計画は、自衛隊の災害救助能力を高め、市民の安全を強化する政策として政府から説明されることになるでしょう」
「地方自治体が軍事インフラの建設に反対した前例はありますが、それはイージス・アショアミサイル防衛システムの配備に関連したものでした。システムがあると、軍事衝突の際に標的となるからです。しかし、港湾や空港の再整備とミサイル防衛システムの配備は別物です。また住宅密集地にある普天間基地の移設をめぐって、地元自治体が何年も争っている沖縄の話も、私には少し違うように思います。沿岸部のインフラや空港を強化するこの計画は、それらとは異なっており、地元住民の抵抗はさほど招かないと、私は思います。 今回の計画は軍事力の強化を目的としていますが、明らかに攻撃力よりも防衛力です。国民側にも国家安全保障政策への理解があります。労働力不足については、港湾や空港に新たな施設を建設する際に、当局が労働力不足に直面することはないでしょう。日本が労働力不足で何かを建設できなかったことは一度もありません。ほとんどの工事は民間に委託されるでしょうし、自衛隊自身が工事に参加するかもしれません。軍事予算の増加は、自衛隊員の給与を増やすことも目的としていますから」