現在の日本のマクロ経済的統計は経済状況がはっきり悪化している様子を映し出している。IMFの調べでは、日本のGDPは2012年の5兆9500億ドルから2015年、4兆2100億ドルまで縮小した。もし2016年第1四半期にGDPが再び縮小すれば、GDPの四半期の落ち込みは1年間で3度目となってしまい、これはもう技術的な景気後退を意味することになり、経済再生を図ろうとする安倍氏の政策の信憑性が大きく失われてしまう。
ロシアの世界社会運動研究所、経済調査センターのヴァシリー・コルタショフ所長は日本の危機についてアジア経済には危機モデルとなるものと見方を示し、次のように語っている。
「日本は世界最大の市場のひとつとしてアジア地域に否定的な影響を及ぼしており、日本自身もグローバルな否定的要因の影響を蒙っている。おそらく2016年にこうした日本のネガティブ要因は尽きることはないだろう。とはいえ、危機が集中しているという感じはなくなるだろうが。
そもそも日本にとっては危機か、そうでないかという指標は常に他国の危機脱出や軍事紛争の拡張と密接に関係してきた。1929年から1933年の大恐慌、そして1970年代の危機を抜け出すのは日本にとっては並みのことではなかった。
これはかなりの部分、出口のない状態だ。日本の危機脱出になんら有効な手立ては見られない。このため近隣諸国の市場にネガティブな影響を及ぼすことになるだろう。
アジア太平洋地域の漏斗はぐるぐると回転し始め、アジアの危機はこの先深まっていくだろうと思う。これは中国における危機から姿を現し始める。その中国はかなりの部分、日本の状況を想起させるものとなると思う。これが2016年の主要な出来事となるだろう。」
コルタショフ氏の見解では、TPP加盟が日本経済にとって「救命浮き輪」になることはまずありえず、同様にロシアの東方への政策転換からも早急な成果は期待できない。それでも両方の国が様々な分野で協力を行おうと邁進すれば、長くかかろうとも、これが成果を出さないはずはない。