【解説】信頼の失墜 ツイッターのアルゴリズムはどのように選挙に干渉していたか

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ツイッター - Sputnik 日本, 1920, 03.12.2022
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米「ツイッター(Twitter)」のイーロン・マスクCEOは11月30日、自分が買収する前の同社幹部らがコンテンツモデレーション(投稿監視)を使って選挙に介入し、社会の信頼を損ねていたとしてこれを非難した。マスク氏は、自身が進める改革「ツイッター2.0」の効果、透明度、公正さは買収前の段階よりも格段にアップすると約束している。ツイッターがどういう方法で選挙に干渉していたかについて、スプートニクはこれまでの経緯をまとめた。
ツイッターの選挙干渉疑惑についてのマスク氏のこの発言は、買収前、同社のセキュリティ部門を率いていたイエール・ロット元幹部の発言への回答として出されたもの。ロット氏はマスクCEOの買収後、ツイッターのセキュリティが失われたと指摘していた。
ツイッターが具体的にどの選挙に影響を及ぼしたかについては、マスク氏は特定はしていない。だがニューヨークポスト紙の記事にある「地獄のノートPC」の隠蔽に責任があるとされるのはロート氏だ。ハンター氏の使用していたノートパソコンは2020年10月にその存在が暴露された、ハンター氏がPCに保存していた秘密のファイルは、本人のハンター氏のみならず、当時の民主党推薦候補として大統領選挙戦に臨んでいた父親のジョー・バイデン氏自身にも大きく影響した。ツイッターの前CEOは、買収後、マスク氏の言論の自由に対する見解に賛同できないとして、他の従業員とともに辞任した

2018年の中間選挙では「ロシアのボット」が排除

マスク氏とロット氏の論争はツイッターやシリコンバレーに依拠するその他の大企業が米国の政治に干渉し、言論の自由を抑制している事実に再び光を当てる結果となった。
2018年、中間議会選挙の年にすでに共和党はツイッターのアカウント削除について警鐘を鳴らしていた。当時、ツイッター幹部は数千件のアカウントをブロック。この措置は、「ロシアのボット」が活動しているからという嫌疑によって正当化されたが、実際にツイッターの被害を受けたのはロボットではなく「生きた」ユーザーの方だった。一方でツイッターにブロックされなかった保守陣営の著名人などのユーザーはフォロワーの一部を失った。
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ツイッターは2018年中間選挙前に共和党員らを「シャドーバンニング」

2018年7月25日、米国のある保守系メディアが、共和党の著名人のツイッターアカウントがツイッターのアルゴリズムによって検索結果に表示されない、つまり「シャドーバンニング」が行われていることに注目した。こうした「シャドー」保守派のリストには、共和党員で後にトランプ大統領の首席補佐官を務めたマーク・メドウズ氏、ジム・ジョーダン上院議員、マット・ゲーツ下院議員のほか、ドナルド・トランプJr.のスポークスマンのアンドルー・スラビアンも入っていた。
2018年7月26日、トランプ氏はツイッターの政治的偏向を非難。ツイッターは同日、これを単なる「ミス」と回答している。
最終的には2018年11月、970万票以上を獲得した民主党が勝利し、下院を掌握。共和党は上院で過半数を維持した。

2020年の選挙 ツイッターはトランプ氏のツイートにタグ

保守的な視点の弾圧をめぐる共和党とツイッターの論争はその後も続き。2020年の大統領選を前にピークを迎えた。
2020年5月、ツイッターはトランプ氏のツイートにタグ付けを始める。大統領選挙の郵送投票に関して行ったトランプ大統領の投稿に自動的に「事実確認」を促すマークがつけられた。青色で「!郵送投票の事実確認」と書かれた警告はトランプ氏の投稿のすぐ下に表示され、これをクリックするとユーザーは「トランプ氏は、郵送投票は不正結果を招くという根拠のない主張をしている」と題したPoliticoの記事に飛ぶ仕掛けになっていた。これを知ったトランプ氏はツイッターが「2020年大統領選挙に干渉」と即座に痛烈に批判し、ツイッターの米国内の活動を閉鎖あるいは制限すると威嚇した。
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バイデン氏の息子と「地獄のノートパソコン」

2020年10月、ツイッターはバイデン氏の息子のハンター・バイデン氏にまつわる話を全力を投じて隠蔽した。ハンター氏の事件は民主党推薦で大統領候補として出馬している父、ジョー・バイデン氏に影を落とした。後に「地獄のノートパソコン」と呼ばれた、ハンター氏のノートパソコンに保存されていたファイルの暴露で、外国の大物との怪しげな取引や、父親の七光りを利用して行っていた売買疑惑が日のもとに明らかになった。
フェイスブック(過激派組織としてロシア国内では活動を禁止されている)がこうした話の拡散を抑制していたころ、ツイッターはさらに先を行っていた。ツイッターは完全にこのテーマの広がりを禁止したほか、事件を報じた米紙「New York Post」のアカウントを凍結した。その後、米国の保守系社会学者らは、少なくない有権者がハンター氏にまつわる騒動の「秘匿」がなければ、ジョー・バイデン氏は選挙に勝てなかっただろうとみなしていると主張した。

「真っ赤な嘘」

2020年の米大統領選挙は大々的な論争を巻き起こした。その結果、年が明けた2021年1月6日、まだ現職にあったトランプ大統領の支持者らは、トランプ氏の参加した集会の散会後、米議事堂に突入した。この際に発砲で女性1人が死亡した他、3人が暴力とは直接関係しないものの、騒動の最中に死亡した。議事堂は物的損傷を蒙った。議事堂で行われていたジョー・バイデン氏の大統領選の勝利を確定する会議は侵入者らによって数時間にわたって中断された。上院の民主党の指導者らはトランプ氏の弾劾ないし憲法の大統領の無能に関する修正条項に基づいて解任するよう呼び掛けた。
これに間髪入れずにツイッターのクリーニングが続いた。当時まだ大統領職にあったトランプ氏のアカウントはブロックされ、トランプ氏と側近らが獲得していた多数のフォロワーらのアカウントも復活の余地も残さずに削除された。
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ツイッターはその後、大統領選挙の結果の検証に携わった共和党の州議会議員のアカウントも削除しており、投票の公正性を疑う者は「真っ赤な嘘」を広めているという民主党の主張とかなり割合で一致している。

ツイッターと信頼失墜

2022年10月、ツイッターのCEOに就任したマスク氏は現論の自由を回復すると約束。11月末、トランプ前大統領のアカウントの凍結を解除すると発表した。
マスクCEOはこのアカウント復活措置によってツイッターは深刻な過ちを修正したとし、「現職の大統領のデプラットフォーミングはツイッターに対する米国社会の半分の信頼を損ねた」と書いている。
マスク氏は次のように述べ、ツイッターの信頼回復を約束している。
「ツイッター2.0はより効率的に、透明性や公平性が高いものになる」
米ジャーナリストのマシュー・タイビ氏は、共和党や民主党、バイデン氏の周辺から「不都合な」情報を含む投稿を削除するよう求める圧力があったことを示すツイッターの内部文書を公開。マスク氏はこれを引用投稿(リツイート)する形で、「Here we go!!」とコメントしている。
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