日本との平和条約締結の可能性は閉ざされている=露外務省報道官

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ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官 - Sputnik 日本, 1920, 10.02.2023
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ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は10日、定例記者会見で日本との平和条約締結交渉について触れ、「我々にとっては閉ざされたまま」との考えを示した。
ザハロワ報道官は次のように述べている。

「平和条約のテーマについては、ご存じの通り、我々にとっては閉ざされたままだ。2022年3月21日のロシア外務省声明を思い出してほしい。我が国に対して露骨に非友好的立場を取り、国益を損じさせようとする国とは、二国間関係の基礎となるような文書調印について議論することは不可能であることを考慮して、我々は日本と平和条約交渉を続けるつもりがないことがはっきり述べられている」

またザハロワ報道官は、ロシアは米国の日本への極超音速ミサイルの配備計画を注視すると述べた。また、ミサイル配備は地域の安全保障状況を変えるおそれがあると指摘した。
「北方領土返還要求全国大会」 - Sputnik 日本, 1920, 07.02.2023
【視点】日本にとって「北方領土」問題の解決はそれほど重要ではなく、この問題が存在する要素のほうが重要
ザハロワ報道官のこの発言を受け、スプートニクは露日の専門家3人に取材した。
国際関係に詳しいロシア科学アカデミー世界経済・国際関係研究所国際安全センター所長のアレクセイ・アルバトフ氏は、次のように指摘している。

「これはロシア外務省のデマルシェ(外交上の申し入れ)だ。そしてこれは日本との対話が長期にわたって中断されたことを意味する。日本の対ロシア制裁は予測できたが、それでも以前に安倍首相と達成した互恵的な合意によって制裁が強化されることはないという期待が残っていた。

 ロシアは平和条約に関する対話に『赤信号』を灯した。そしてこれは、おそらく、日本の事業、ビザなし交流、ビジネスや政治ルートによる今後のやり取りのすべての譲歩や例外の撤廃を伴うだろう。それは長い期間に及ぶのか?答えるのは難しいが、永遠なものは何もない」

同センターの日本研究の専門家、ビタリー・シュビトコ日本部長は次のようにコメントしている。

「過去2年間、平和条約に関する日本との交渉には原則としていかなる動きもなかった。そのためザハロワ氏の発言は日本政府にとって目新しいものは何もない。これは公式的な事実の確認にすぎない。さらに、領土問題は(ロシアの観点からは)すでに解決済みだ。したがって平和条約に関する交渉にはいかなる動きもなかった。いかなる協議も対話も行われなかった。

 そのためザハロワ氏の発言は、ロシアの立場に変わりはなく、変化する傾向もないという現実を示したにすぎない。平和条約の問題は、将来的にこの問題に対する両国のアプローチや状況が変わった場合、いつか再び提起されるかもしれない。しかし今のところは平和条約についていかなるやり取りも進展もない。つまり、ロシアの立場が変わる可能性もないということだ」

一方、拓殖大学海外事情研究所の名越健郎教授は、日本側の見方を次のように解説している。

「ザハロワ報道官の発言への日本側のコメントはまだ出ていないが、岸田文雄首相は昨年3月、ロシアが平和条約交渉をへの参加を拒否したことについて、『今回の事態は全てロシアによるウクライナ侵略に起因して発生しているものだ。それを日ロ関係に転嫁しようとするロシアの対応は極めて不当であり、断じて受け入れることはできない』と強調していた。

 政府などが7日に開いた北方領土返還要求全国大会は、採択したアピールに『不法占拠』の文言を5年ぶりに復活させるなど、対露姿勢を硬化させる内容だった。日本側は平和条約交渉の先行きが見通せない中、墓参などの再開を『最優先事項』と位置付ける。

 ただし、日本側関係者は『ウクライナ戦争が続く限りは平和条約交渉の締結は困難。プーチン時代が終わりまで交渉再開は難しいのではないか』と予想している」

「北方領土」の返還を求める抗議活動
 - Sputnik 日本, 1920, 07.02.2023
【視点】「過去も現在も未来もロシア領土の不可分の一部」 サハリン州議会議員、クリル諸島をめぐる抗議にコメント
日本の林芳正外相は7日の定例会見で、南クリル諸島(日本が主張するいわゆる北方領土)をめぐる問題に関連し、領土問題を解決してロシアとの平和条約を締結するという対露外交の方針は不変であると表明。翌8日には、岸田文雄首相も「(2018年の)シンガポールでの首脳会談における合意を含め、諸合意を踏まえて取り組むのが政府の基本方針だ」と述べ、平和条約締結交渉を引き続き継続する意思を示した。
日本で「北方領土の日」を迎えた7日、右翼団体などが東京のロシア大使館の付近で抗議行動を行った。スプートニクの特派員は現場を訪れてその一部始終を伝えた。
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